2006 Fiscal Year Annual Research Report
レクチンの糖認識機構解析及びそのタンパク質工学的改変による有用タンパク質開発
Project/Area Number |
17580083
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畠山 智充 長崎大学, 工学部, 教授 (50228467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠木 正巳 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90135749)
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Keywords | レクチン / 糖結合タンパク質 / カルシウム / 糖認識機構 / 部位特異的変異体 / 蛋白質工学 / 溶血素 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
本研究では,海産無脊椎動物グミ(Cucumaria echinata)のCa^<2+>依存性レクチンCEL-I, CEL-III, CEL-IVを中心に,その糖認識機構の解析ならびに部位特異的変異による新規な糖特性を有する人工タンパク質の開発を目指した。特に本年度CEL-IVに関しては,X線結晶解析により糖結合部位に存在することが明らかになったTrp79を,それぞれTyr, His, Alaに置換した部位特異的変異体を作製し,その糖結合性について検討した。その結果,N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)に対する変異体の親和性は,Trp>Tyr>His>Alaという順に低下することがわかった。このことから,GalNAcに対する結合力には芳香族アミノ酸とGalNAcの疎水面との疎水的相互作用が大きな役割を果たしているものと考えられた。一方,溶血性レクチンCEL-IIIについては,そのドメイン3の標的細胞膜内での会合及び膜孔形成における役割を解明することを目的として,ドメイン3全体またはその中のαヘリックス領域をグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)と融合させたタンパク質を大腸菌によって発現させ,その性質について検討した。その結果,ドメイン3及びαヘリッククス領域のGST融合タンパク質は,いずれも強い自己会合性を示した。さらにαヘリックス領域に現れる特徴的なVal残基の繰り返し配列をAla残基に置換した融合タンパク質についても発現したところ,Alaへの置換数が増加するに従い会合性は著しく低下した。これらのことから,CEL-IIIドメイン3のαヘリックス領域はCEL-IIIの標的細胞膜内での自己会合と膜孔形成に重要であり,特にVal残基クラスターの重要性が示唆された。
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Research Products
(3 results)