2005 Fiscal Year Annual Research Report
TAFI-プラスミノゲン受容体を中心とした新しい細胞線溶の解明と肝細胞の増殖制御
Project/Area Number |
17580084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20187834)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 豊彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50096757)
荻原 淳 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50256830)
|
Keywords | hepatocyte / liver / TAF1 / fibrinolysis / plasminogen / regeneration |
Research Abstract |
線溶系因子plasminogenやplasminogen activator (PA)は肝細胞増殖や肝障害に密接に関連して変動することが明らかとなっている。これら線溶系因子は細胞表面の限定された場所に存在することでその機能を効率よく発揮することが知られている。そこで肝細胞増殖調節因子による細胞表面plasmin (plasmin)活性調節機構と再生肝臓におけるplasminの局在に関して、肝細胞増殖との関連を追究した。 コラゲナーゼ灌流法により調製したラット肝細胞をtype-1 collagen-coated dishに播種し各種増殖因子存在下で培養した。肝細胞の増殖能はproliferating cell nuclear antigen (PCNA)を指標としたウエスタンブロッティングで、また線溶系因子の活性、遺伝子発現についてはzymography、RT-PCRにより測定した。さらに細胞表面に結合したplasminogen/plasminについても同様に測定した。肝再生モデルはWistar系オスラットに70%部分肝切除を行い、対照には偽手術を施した。これらラットにおける肝臓の再生を肝重量、PCNAを指標に観察するとともに、スクロース密度勾配法によって精製した肝臓の膜画分の線溶系因子をzymographyで検討した。 EGFは肝細胞の増殖を促進すると伴にplasminogen activator (PA)活性、細胞表面plasmin活性を増大させた。TGFβはPAI-1発現を顕著に増大させ、PA活性を抑制し、さらに細胞膜plasmin活性を減少させた。Plasmin分子内のリシン結合部位競争阻害剤トラネキサム酸や細胞表面リシン残基を除去するカルボキシペプチダーゼは、肝細胞表面のplasmin結合量を減少させ、同時に肝細胞の増殖を抑制した。一方、培養肝細胞へのplasminogenの添加は細胞増殖能を増大させた。部分肝切除モデルにおいて肝臓は肝切除24-48時間後に肝細胞増殖が最大となり、肝重量の顕著な増大が見られた。これと平行して細胞膜画分におけるPA、plasmin活性が増大した。 肝再生過程における肝細胞増殖には細胞膜おける局所の線溶系調節機構が重要であることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)