2006 Fiscal Year Annual Research Report
TAFI-プラスミノゲン受容体を中心とした新しい細胞線溶の解明と肝細胞の増殖制御
Project/Area Number |
17580084
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20187834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 豊彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50096757)
荻原 淳 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50256830)
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Keywords | hepatocyte / liver / fibrinolysis / TAFI |
Research Abstract |
部分肝切除や肝障害による肝臓の再生機構では、線溶系因子を含む様々な因子が協調的に作用して肝細胞の増殖や肝組織のリモデリングが統御されている。Thrombin activatable fibrinolysis inhibitor (TAFI)は細胞表面のplasminogen (plg)受容体のC末端lysine残基を除去してplgの結合量を減少させることにより線溶系を阻害するカルボキシペプチダーゼであり、plg受容体を中心とした細胞線溶の制御にも重要な因子である。 本年度は、肝再生過程における細胞線溶とTAFIの機能との関係を明らかにする目的で、肝再生モデルにおけるTAFIの発現動態とその機能について検討を行った。70%部分肝切除ラットでは、肝臓TAFI発現、血中TAFI活性ともに減少したが、肝再生にともなって回復した。一方、肝臓の細胞膜画分のplasmin活性はTAFIの発現動態とは相反的に増大した。初代培養肝細胞をEGF, HGF存在下や低細胞密度で培養したところTAFI発現レベルは減少し、細胞表面のplasmin活性は増大した。活性型TAFIと同様の酵素活性を有するcarboxypeptidase Bは肝細胞の増殖を抑制された。 肝再生過程ではTAFIの発現量が増殖刺激依存的に減少すること、TAFIの減少により細胞表面にplgが結合しやすい環境が提供されることが明らかとなった。細胞表面に結合したplgは肝細胞増殖を促すとともに細胞周囲のプロテアーゼ活性を介して肝再生に関与すると考えられる。肝臓におけるplasminogen結合タンパク質の候補としてCK8が報告されているが、その機能については不明である。増殖刺激した初代培養肝細胞に、CK8とは異なる複数の新規のplasminogen結合タンパク質が存在することを明らかにし、現在、これらの構造解析を進めている。
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