2007 Fiscal Year Annual Research Report
TAFI-プラスミノゲン受容体を中心とした新しい細胞線溶の解明と肝細胞の増殖制御
Project/Area Number |
17580084
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
関 泰一郎 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (20187834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 豊彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50096757)
荻原 淳 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50256830)
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Keywords | plasminogen / hepatocyte / liver / siRNA / fibrinolysis |
Research Abstract |
TAFIの生理機能を解明する目的で、TAFIの標的となる肝細胞表面のplasmin局在について検討を行った。初めに肝再生過程におけるplasminを中心とした線溶系因子の局在およびその機能について検討した。ラットに70%部分肝切除を施し、術後の線溶系因子の局在を検討したところ、plasmin活性が術後24〜48時間後の細胞膜画分で増加することが確認されたことから、plasminogenが細胞膜に局在することにより効率のよい活性化、活性維持に影響することが考えられた。さらにトラネキサム酸(TxA)を投与したplasminogen阻害モデルを作製し、肝再生に及ぼす影響について検討した。TxA投与により部分肝切除後の肝再生は遅延した。さらにTxA投与により細胞膜画分におけるplasmin活性やuPA活性の抑制のみならず、細胞外マトリックス分解酵素であるMMP-2,MMP-9などの活性抑制も確認された。組織化学的検討によりTxA投与群の肝組織では繊維化傾向が認められた。これらのことから細胞膜plasmin活性はuPAやMMPの活性制御により、肝再生に関与することが示唆された。このような細胞膜へのplasmin局在にTAFIが関与するかsiRNAを用いて、invitroで検討した。TAFI特異的siRNAによりTAFI発現を抑制した肝細胞においては、細胞膜plasmin活性の増加が確認され、さらに肝細胞増殖が促進した。同様の結果は肝がん細胞株であるHepG2でも認められた。これらの結果からTAFIはplasminの局在調節を介して細胞増殖に寄与することが考えらえた。これらの結果から肝再生過程における増殖因子によるTAFIの発現抑制は、plasminの局在調節を介して肝再生に促進的に機能することが考えられた。本研究によりTAFIの細胞線溶における役割をはじめて明らかにできた。
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