2005 Fiscal Year Annual Research Report
エキソ型β-グルコサミニダーゼの反応機構解明および有用糖質生産への応用
Project/Area Number |
17580085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
深溝 慶 近畿大学, 農学部, 教授 (50181243)
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Keywords | キトサン / グルコサミニダーゼ / 反応機構 / 分泌発現 |
Research Abstract |
本研究は、Amycolatopsis orientalis由来のβ-グルコサミニダーゼ遺伝子をクローニングし、シーケンス解析を行い、大量発現系の構築を経て、その構造と機能の解明を目的としている。その最初の段階として、分泌発現系の構築を行った。このβ-グルコサミニダーゼをコードしている遺伝子を、E.coliとStreptomycesとのシャトルベクターであるpFD666に導入し、得られた発現用プラスミドをStreptomyces lividans TK-24に形質転換した。本菌の培養ろ液中にβ-グルコサミニダーゼ活性を確認した後、イオン交換クロマトグラフィーとゲルろ過によって精製した。その結果、機能解析を行うために十分量の精製酵素を得ることができた。 次に、本酵素の反応特性を明らかにするために^1H-NMRによって酵素反応の追跡を行った。グルコサミンの6糖と本酵素を重水中で25℃で反応させ、経時的にスペクトルを得た。その結果、酵素反応に伴いβ-アノマーが生成され、本酵素はアノマー保持機構で触媒が行われることがわかった。グルコサミン残基に対する特異性を調べるために、部分アセチル化キトサンオリゴマーを基質として反応させ、HPLCで分解速度を調べた。その結果、GlcN-GlcN間のグリコシド結合とGlcN-GlcNAc間のグリコシド結合はほぼ同じ速度で分解されていることがわかった。本酵素の(+1)サイトにはグルコサミン残基に対する特異性はなく、(-1)サイトにその特異性があることが示唆された。 さらに、このエキソ型グルコサミニダーゼとエンド型キトサナーゼとの混合が、どれほどキトサン分解を加速するかを調べた。種々の濃度比で両酵素を混合し、高分子キトサンを基質として反応を行い、Blix法によって生成されたグルコサミン量を測定した。その結果、両酵素を1:2(エンド:エキソ)の比で混合したときのグルコサミン生成速度は、両酵素を単独で反応させた場合の和に比べ、4倍の反応の加速がみられた。本酵素は、キトサンからのグルコサミン生産において非常に有用であることが示唆された。
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