2006 Fiscal Year Annual Research Report
エキソ型β-グルコサミニダーゼの反応機構解明および有用糖質生産への応用
Project/Area Number |
17580085
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
深溝 慶 近畿大学, 農学部, 教授 (50181243)
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Keywords | キトサン / グルコサミダーゼ / 部位特異的変異 / 触媒残基 |
Research Abstract |
本研究は、Amycolatopsis orientalis由来のβ-グルコサミニダーゼ遺伝子をクローニングし、シーケンス解析を行い、大量発現系の構築を経て、その構造と機能の解明を目的としている。昨年度においては、我々は本酵素の分泌発現系の構築に成功し、そのリコンビナント酵素を用いて反応特異性の解析を行い、さらにStreptomyces sp.N174エンド型キトサナーゼとの混合に伴う相乗効果についていくらかの情報を得ることができた。本年度は、Amycolatopsis orientalis由来のβ-グルコサミニダーゼの触媒残基を決定するために、部位特異的変異が導入された酵素を作成し、その構造と機能を調べた。 本酵素は、推定アミノ酸配列に基づいてFamily GH-2に属することが明らかにされている(Cote et al., Biochem.J. 394, 675-686(2006))。よって、このFamilyに属するいくつかの糖質加水分解酵素のアミノ酸配列と本酵素のものとを比較することによって、保存性の高い酸性アミノ酸残基を検索した。その結果、Asp469とGlu541が触媒残基として最も有力な候補であると考えられた。そこで、このβ-グルコサミニダーゼをコードしている遺伝子のAsp469とGlu541の部分をPCR法によって部位特異的に変異させ、変異遺伝子をStreptomyces lividans TK-24によって分泌発現させた。S.lividansの培養ろ液よりイオン交換クロマトグラフィーとゲルろ過によって変異酵素を精製した後、構造と機能の解析を行った。 得られた野生型と4種の変異型酵素(D469A, D469E, E541D, E541Q)について、円二色性分散計によって構造を調べたところ、これらの変異によって、大きな構造の変化をないものと思われた。グルコサミン2糖の加水分解活性を還元糖の定量およびHPLCによる分離定量によって調べてみたところ、これら四つの変異酵素すべてにおいて活性が極端に消失しており、E541変異体に比べD469変異体でより大きな活性の消失がみられた。以上より、Asp469がプロトン供与体、Glu541が求核基として働いているものと考えられた。
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