2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17580086
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
金子 哲 独立行政法人食品総合研究所, 生物機能開発部, 主任研究官 (90343821)
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Keywords | アラビノガラクタン-プロテイン / 糖加水分解酵素 / 基質結合ドメイン / Phanerochaete chrysosporium / Clostridium thermocellum |
Research Abstract |
アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)は高等植物の細胞表層プロテオグリカンであり、植物の生長、分化と密接な関係が示唆されているが、詳細な機能は明らかになっていない。多数のコアタンパク質部分が存在することと、糖鎖力が極めてヘテロで複雑であることから、AGP研究は困難を極めている。AGPの糖鎖の分解酵素のうち、エキソ-1,3-ガラクタナーゼは配列情報が全くなかったことから、我々はPhanerochaete属及びClostridium属より、初めて本酵素遺伝子をクローニングした。これらの酵素は触媒モジュール以外に機能未知のモジュールを含んでいた。そこで、本研究ではエキソ-1,3-ガラクタナーゼが有する機能未知モジュールの機能を明らかにすること、及びエキソ-1,3-ガラクタナーゼの構造機能相関を明らかにすることを目的として研究を行った。 Phanerochaete及びClostridiumの1,3-ガラクタナーゼはそれぞれ酵母と大腸菌で発現させ、活性型酵素を得た。Clostridiumの1,3-ガラクタナーゼはガラクトトリースに最も作用するのに対し、Phanerochaeteの1,3-ガラクタナーゼは多糖である1,3-ガラクタンに最も良く作用する等の特性の違いが見られたが、両酵素ともβ-1,3-結合した2つのガラクトースの間のみを加水分解するという極めて厳密な基質特異性を有していた。また、β-1,6-結合の側鎖をバイパスして主鎖のβ-1,3-結合したガラクタン部分を加水分解していくという珍しい性質も有していた。Phanerochaeteの酵素が有する基質結合モジュールは1,3-ガラクタンに特異的に結合する新規なモジュールであることを明らかにした。一方、Clostridiumのエキソ-1,3-ガラクタナーゼが有する基質結合モジュールは1,3-ガラクタンに結合する新規なモジュールであるが、酵素部分の認識部位に結合することから、酵素活性を阻害した。更にPhanerochaeteのエキソ-1,3-ガラクタナーゼの結晶を得ることに成功し、来年度の研究への準備を行うことが出来た。
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[Journal Article] An exo-beta-1,3-galactanase having a novel beta-1,3-galactan-binding module from Phanerochaete chrysosporium2005
Author(s)
H.Ichinose, M.Yoshida, T.Kotake, A.Kuno, K.Igarashi, Y.Tsumuraya, M.Samejima, J.Hirabayashi, H.Kobayashi, S.Kaneko
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Journal Title
The Journal of Biological Chemistry 280(27)
Pages: 25820-25829
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より