2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580086
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
金子 哲 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品バイオテクノロジー研究領域, 主任研究員 (90343821)
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Keywords | アラビノガラクタン-プロテイン / 糖加水分解酵素 / 基質結合ドメイン / Phanerochaete chrysosporium / Clostridium thermocellum / Streptomyces avermitilis |
Research Abstract |
エキソ-1β-ガラクタナーゼは2つのガラクトース間のβ-1,3-結合のみを厳密に認識し、加水分解する酵素でありながら、タイプIIアラビノガラクタンの1,6-ガラクタン側鎖をバイパスし、主鎖のβ-1,3-ガラクタンを分解することができる興味深い特性を持つ酵素である。我々は担子菌の1種Phanerochaete chrysosporiumより、本酵素遺伝子を初めてクローニングすることに成功した。その結果、バクテリア、放線菌、植物に本酵素に類似した配列が存在することを見出し、これら遺伝子をクローニングし、大腸菌や酵母で発現させ、これらがエキソ-1β-ガラクタナーゼであることを明らかにした。これら様々な生物に存在する本酵素は、生物間で大きくモジュラー構造に違いがみられた。P.chrysosporiumの酵素はC末端側に糖結合モジュール(CBM)ファミリー35に分類されるモジュールを有するが、Clostridium thermocellumの酵素はCBMファミリー13に分類されるモジュールを持つ。P.chrysosporiumの酵素は他の酵素に比べ、比活性が高いことから、CBM35の活性への影響を調べるために、C.thermocellumの酵素のC末端にP.chrysosporiumの酵素のCBM35を繋いだ酵素を構築し、その酵素の特性を解析した。この変異体酵素はC.thermocellumの酵素より、β-1,3-ガラクタンに対する活性が高く、基質濃度が低い場合にその差が顕著であった。このことより、CBM35は酵素の周りの基質濃度を高めることにより、酵素活性を高める機能を有することが明らかとなった。 また、エキソ-1β-ガラクタナーゼ自信が有する興味深い性質を解析する為に、結晶構造解析も試みている。昨年度はP.chrysosporiumの酵素の結晶が得られたものの質が悪かったが、糖鎖を除去して結晶を調製することによって、2.2Åの解像度のデータが取れるまでに改善した。
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