2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト致死性海藻毒ポリカバノシド類の起源生物、生理作用、類縁体の構造に関する研究
Project/Area Number |
17580091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 まり 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (50192430)
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Keywords | 食中毒 / 海藻 / ポリカバノシド / 構造決定 / 絶対立体配置 / 薬理作用 |
Research Abstract |
1 ポリカバノシドC2の相対立体構造および、絶対立体構造の決定:ポリカバノシドC(PC), C2(PC2)は、紅藻カタオゴノリGracilaria edulis由来のヒト致死性食中毒原因物質ポリカバノシドAの微量類縁体で約2kgの海藻から0.1-0.2mg単離した。前年度まで、平面構造の推定、およびアグリコンモデルの合成による平面構造の確認を行なった。その後、そのアグリコンモデルと天然物PC2のNMRデータがほぼ完全に一致することを確認の上で、合成モデルのNOE, J値から、不明であった、C10, C13位の相対立体配置を決定した。次に、そのモデルと、PC2,さらに既知の類縁体PA3のCDスペクトルを比較すると、300nm付近に共通した負のコットン効果が観測され、これはこれらの分子に共通して存在する、9位のケトンカルボニルのn-pai*遷移によるものと考えられ、共通の絶対立体構造を持つと推定し、PC2のC10, C13の絶対配置をR, Rと決定した。これは北海道大学大学院理学研究院藤原憲秀准教授のご協力による。 2.PC2とアグリコンモデルの生理活性:PC2をddY系オスマウス体重12gに腹腔内投与しても、なんら症状をしめさず、ポリカバノシドAのマウスに対する腹腔内投与毒性は、0.2-0.4mg/kgであることと比較すると、PC2に同等レベルの毒性がないといえる。また、PC2のアグリコンモデルは、Neuro2AおよびTHP-1細胞に20micro Mで細胞毒性を示さなかった。 3.ポリカバノシドAの合成類縁体の薬理作用:オハイオ州立大学Paquette教授が合成した、側鎖にenyneneを持ちマウス毒性を有する類縁体の薬理作用研究をスペインのBotana教授との共同で行なった。その結果、この類縁体はヒト神経芽細胞腫由来の培養細胞に膜電位の脱分極を引き起こし、細胞内Ca2+濃度を上昇させることを明らかにした。
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