2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原菌の感染した植物における二次代謝産物の行方-細胞壁の関与を中心に-
Project/Area Number |
17580095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石原 亨 京都大学, 農学研究科, 助手 (80281103)
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Keywords | 二次代謝 / 細胞壁 / シロイヌナズナ / ファイトアレキシン / HPLC |
Research Abstract |
昨年度に行った可溶性画分の分析に加え,今年度は細胞壁画分の分析を行った.病原菌として,アブラナ科植物すす病菌をもちいた.PSA培地に植菌し,2週間培養を行い、胞子を形成させた.胞子の懸濁液を播種後4週間のロゼット葉に接種し24〜96時間培養した.これをメタノールで抽出し,可溶性画分を得た.抽出残査をさらにアセトンと水で連続的に抽出を繰り返し,得られた残査を細胞壁画分とした.これを最終的に3N水酸化カリウムで抽出し,細胞壁に結合したフェノール性物質を含む画分を得た.この画分を1N塩酸で酸性にしたあと,酢酸エチルで抽出し,ODSカラムを用いた逆相HPLCで分析した.その結果,病原菌を接種した葉から得られた細胞壁にのみ特異的に蓄積する化合物を見いだした.この化合物を分取HPLCで精製し,1H NMRやMS, UVスペクトルを測定した.その結果,この化合物はインドール-3-カルボン酸と同定することができた.さらに,HPLC上でインドール-3-カルボン酸を同じ保持時間に溶出した. この化合物は病原菌の接種後速やかに蓄積し,接種後72時間で蓄積量が最大となった.また,細胞壁画分からは検出できなかった.このように病原菌の感染時に特異的に細胞壁に蓄積する化合物はこれまでにあまり知られていない. 昨年までの分析から可溶性画分に存在するインドール化合物がさらに代謝されている可能性が示唆されていたが,インドール-3-カルボン酸の蓄積はこれを裏付けるものであった.今後,インドール化合物の合成に関連した突然変異体を利用して,その生合成経路の解明を行う.
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