2006 Fiscal Year Annual Research Report
バラ科・ナス科植物の自家不和合性における自他識別機構の分子レベルでの解析
Project/Area Number |
17580097
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
円谷 徹之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (50379533)
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Keywords | 自家不和合性 / ペチュニア / ウメ / S-RNase / SLF |
Research Abstract |
1.バラ科植物ウメの自家不和合性雌蕊側因子、花粉側因子であるS-RNase、 SLFにそれぞれ分割した蛍光蛋白質のN末端側、C末端側を融合したものを発現するベクターを作成し、タマネギ表皮細胞に共導入したところ、細胞質の特定の領域で蛍光蛋白質由来の蛍光が観察された。このことは、S-RNaseとSLFが細胞質で相互作用することを示唆するものであるが、S-RNaseとSLFのSハプロタイプの違いによる結合性の異同は見られなかった。 2.前年の報告書で、ナス科植物ペチュニアよりいくつかの花粉側S遺伝子候補群をクローニングし、それらのうち、S_<B1>ハプロタイプのpB1SLF、 rB1SLFと、S_<D1>ハプロタイプのpD1SLF、rD1SLF1の遺伝子を植物に導入したことを報告した。しかしながら、これらの形質転換体は、導入遺伝子が正常に花粉で発現することが観察されるものの、花粉の自家不和合性表現型には変化がなく、導入した遺伝子候補群が花粉側S遺伝子として働くかどうかは明らかにはならなかった。 そこで次に、花粉側S遺伝子候補群のうち、pDl1SLF、rD1SLF1の遺伝子発現を抑制した形質転換体の作出を試みた。いくつかの形質転換体が得られ、そのうちの数個体の花粉は、交雑和合性を失っていた。今後、遺伝子発現と表現型の相関を調べる必要があるものの、このことは、pD1SLF、rD1SLF1遺伝子はともに花粉側S遺伝子として機能することを示唆する。
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