2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580099
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 俊哉 独立行政法人理化学研究所, 物質構造解析チーム, 先任研究員 (00202151)
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Keywords | バンレイシ科植物 / ピラゴニシン / カムバリニン / β-アルコキシアクリレート / ヨウ化サマリウム / 分子間メタセシス |
Research Abstract |
バンレイシ科植物から単離されたピラゴニシン(1)ならびにカムバリニン(2)の合成研究を行った。その結果、1の最初の全合成を達成した。1の持つ環状エーテル部分は、最近申請者のグループで行ってきている鎖状β-アルコキシアクリレート誘導体のヨウ化サマリウムによる高選択的環化反応により構築され、ラクトン部位とのWittig反応によるカップリングで1を合成した。一方のカムバリニン(2)については、立体化学の一部が不明であるので、長鎖脂肪酸誘導体から3環性エーテルフラグメントのモデルの合成法を検討した。 また、これまでのアセトゲニン全合成で環状エーテルフラグメントとγ-ラクトン部位の縮合は、SonogashiraカップリングかWittig反応によっていたが、反応基質によって、縮合収率が思わしくなく再現性にも問題を残す場面に幾度か遭遇した。そこで、より効率的な2成分連結法の開発を目的として、環状エーテル部とγ-ラクトンを分子間メタセシスでカップリングさせる方法論を考案した。この方法論の試みの最初の応用例として、Trichilia alausseniiの実から単離されたγ-ラクトン3の合成を検討した。まず、脱離しやすいβ-水酸基を持った3のコア部分を2,5-アンヒドロ-D-マンニトールから立体選択的に合成することに成功した。次いで、長鎖オレフィンとの分子間メタセシスを行ったところ、2成分連結が可能であることが分かった。この知見を基にγ-ラクトン3の合成を達成した。現在、この方法論の適用限界を探るため、より複雑な基質を調製しピラゴニシンの第2世代合成に応用中である。今後は、合成されたアセトゲニン類を、生物活性試験に供しバイオツールとしての機能を検証する予定である。
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Research Products
(3 results)