2006 Fiscal Year Annual Research Report
分岐鎖アミノ酸の血糖値低下作用の機構解析とその糖尿病治療への寄与
Project/Area Number |
17580104
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
吉澤 史昭 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10269243)
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Keywords | イソロイシン / ロイシン / 糖代謝 / 血糖値 / 糖尿病 / ラット |
Research Abstract |
昨年度得られた「分岐鎖アミノ酸の中でもイソロイシンが最も強い血糖値低下作用を有し、この作用は骨格筋へのグルコースの取込み促進に起因している」等の知見をもとに、本年度は分岐鎖アミノ酸の糖尿病治療への貢献の可能性を探ることを目的とした。 1.摂食にともなう一過性の血糖値上昇の抑制に有効な分岐鎖アミノ酸の投与量の決定 6時間の時間制限給餌に馴致したWistar系雄ラットを5群(ロイシン群、イソロイシン群、バリン群、生理食塩水群、無投与群)に分け、毎日摂食開始直前に生理食塩水およびそれぞれの分岐鎖アミノ酸溶液を経口投与した。分岐鎖アミノ酸の投与量は、ラットが1日に摂取する食餌中に含まれるロイシン量を基準としてラット体重100g当り135mgとした。1日おきに摂食開始から1時間後に尾静脈より血液を採取し、血糖値を測定した。その結果、ロイシン、イソロイシン投与によって摂食にともなう血糖値の上昇が抑制された。いずれの群においても体重、摂食量に差は見られなかったことから、分岐鎖アミノ酸の食前投与によって成長が阻害されることはないことが示された。 2.糖尿病に対する分岐鎖アミノ酸投与の有効性の検証 幼若時より高血糖を示し、非肥満で2型糖尿病を発症するGKラットに、正常ラットの試験で効果が実証された量の分岐鎖アミノ酸を投与して、正常ラットで見られたのと同様な摂食にともなう血糖値上昇の抑制効果が見られるか否かを調べた。その結果、摂食開始1時間後の血糖値上昇はロイシン投与で抑制され、イソロイシン投与によってもわずかに抑制される傾向が見られた。 結論:ロイシン、イソロイシンの食前投与によって摂食にともなう血糖値上昇が抑制され、またこれらの食前投与は糖尿病治療に有効である可能性が示唆された。
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