2005 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分摂取により増加する小腸上皮内リンパ球サブセットの特性・機能の解析
Project/Area Number |
17580106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸塚 護 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 客員助教授 (70227601)
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Keywords | 腸管免疫 / 食品抗原 / 小腸上皮内リンパ球 / デキストラン硫酸誘導腸炎 / 卵白アルブミン / TCRトランスジェニックマウス |
Research Abstract |
食品成分の作用を強く受けると考えられる腸管免疫系を構成する各細胞の機能、機能発揮に重要な分子や作用メカニズムは十分に明らかにされていない。本研究では、腸管免疫系を構成する細胞のうち、小腸上皮内リンパ球(IEL)に注目した。IELは上皮細胞間に存在するT細胞群であり、細胞表面分子の発現パターンの違いにより主に5つのサブセットに分けられる。各サブセットは独自の分化経路、生理機能をもつものと考えられている。これまでに、卵白食摂取によって卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウス由来のIELでは、CD4^+CD8^- IELサブセットの数が増大すること、CD4^+CD8^- IELでは他のIELサブセットと比較してIL-10遺伝子の発現が著しく高いことを明らかにしている。in vitroでのIELのT細胞増殖抑制効果を検討したところ、卵白食摂取群由来IELでより強い抑制効果が観察されたことから、食品抗原摂取によりIELのT細胞応答に対する抑制機能が亢進していることが確認された。また、卵白食摂取マウス由来IELの移入により、デキストラン硫酸ナトリウム誘導腸炎(DSS腸炎)モデルにおいて腸炎症の抑制が観察されている。この炎症抑制に対するCD4^+CD8^- IELの関与を明らかにするため、BALB/cマウスを用いたDSS腸炎モデルにおいて、卵白食摂取群由来の全IEL、あるいは全IELからCD4^+CD8^- IELを除いたもの(CD8α^+ IEL画分)を移入した場合の腸炎抑制効果を比較検討した。その結果、CD4^+CD8^- IELを含む全IELを移入した場合に、より強い炎症抑制効果が認められた。 このことから、食品抗原摂取で誘導されるIELのDSS誘導型大腸炎に対する抑制効果亢進は、CD4^+CD8^- IELが担っていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)