2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分摂取により増加する小腸上皮内リンパ球サブセットの特性・機能の解析
Project/Area Number |
17580106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸塚 護 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (70227601)
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Keywords | 細胞・組織 / 食品 / 動物 / 免疫学 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
卵白アルブミン特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウス(DO11.10マウス)に卵白タンパク質を含む食餌を摂取させた場合、小腸上皮内リンパ球(IEL)においてCD4^+D8^- IELサブセットの数が増大することを明らかにしている。本研究では、CD4^+IELが他の腸管免疫系CD4^+T細胞とどのような性質の違いを有するのかを明らかにすることを目的として、BALB/cマウスからIEL、粘膜固有層リンパ球(LPL)、パイエル板(PP)、腸管膜リンパ節(MLN)、脾臓(SPL)のCD4^+T細胞を調製し、DNAマイクロアレイ解析により網羅的な遺伝子発現解析を行った。クラスター解析により遺伝子発現パターンの類似性を調べたところ、CD4^+IELとCD4^+LPLの遺伝子発現の類似性が高く、CD4^+PP、CD4^+MLN、CD4^+SPLとは異なることが明らかとなった。そこでCD4^+IELとCD4^+LPLで共通して発現が高かった遺伝子を探索したところ、細胞傷害活性に関係するグランザイムA、Bの非常に高い発現、および炎症性サイトカインであるIL-17、IL-22の高い発現が確認され、常に抗原に曝されている腸管において外来抗原に応答している可能性が考えられた。またこれらの遺伝子群はin vitroで活性化させたCD4^+SPLでは発現が弱いものが多かった。IELとLPLは腸管環境下で活性化されていると考えられているが、これらの遺伝子発現は活性化された状態を示しているだけではないことが明らかとなった。免疫の制御に関わるIL-10、CTLA-4、制御性T細胞の誘導に関与するICOSの発現も高かった。一方、CD4^+IELではCD4^+LPLと比較して、炎症性サイトカインであるIL-1β、ケモカイン、アポトーシス誘導に関与するFasLの発現が顕著に高いことなどの違いが認められた。
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