2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580114
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西山 和夫 宮崎大学, 農学部, 助教授 (40164610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正夫 宮崎大学, 農学部, 助手 (80381060)
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Keywords | 低酸素濃度細胞培養 / 血管新生 / 共役リノール酸 / HIF-1 / VEGF / 脂肪酸 |
Research Abstract |
がん細胞は生体内において盛んに血管新生を誘導し、酸素あるいは栄養分を補給することで腫瘍組織の増大を可能としている。血管新生の誘導は細胞が低酸素状態になることが刺激になると考えられており、低酸素への応答を低下させることによってがん細胞からの血管新生誘導因子の産生は抑制されると考えられる。HIF-1αは転写因子として、本研究では、HIF-1αタンパクの安定化抑制を指標とした食品成分の低酸素ストレス応答の低減を標的として、がん細胞による血管新生誘導抑制効果の可能性と、その作用機構を明らかにすることを目的とする。低酸素ストレス応答の検討を行うにあたり、コバルトイオンによりHIF-1α分解を阻害し、蓄積を誘導させた。今回、サンプルとして種々の脂肪酸を用いた。いずれの脂肪酸も遊離脂肪酸として実験を行った。その結果、コバルト誘導性HIF-1αの蓄積はアラキドン酸と10trans,12cis-共役リノール酸(CLA)により顕著に抑制された。また、その結果、アラキドン酸および10trans,12cis-CLAがVEGF産生を抑制する事が明らかとなった。次に実験条件を実際の低酸素とすべく、培養中の酸素濃度を窒素で置き換える事により1%O2レベルでの培養を行いHIF-1αの蓄積量およびVEGF産生量への脂肪酸の影響を検討した。その結果、10trans,12cis-CLAは低酸素誘導性HIF-1αの蓄積およびVEGF産生を有意に抑制した。また、低酸素条件においてはリノール酸にもほぼ同様の効果が認められた。以上の結果から、平成17年度においては低酸素培養と低酸素ストレス応答の評価系が確立し、いくつかの脂肪酸ががん性血管新生予防に有用である可能性が示された。
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Research Products
(4 results)