2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580118
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山本 祐司 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教授 (50240130)
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Keywords | 癌抑制機構 / シグナル伝達機構 / 脂肪酸付加 / 細胞内局在性 |
Research Abstract |
本研究では、結節性硬化症患者への栄養学的なアプローチによる病状の改善ならびに軽減を最終的な目標に、結節性硬化症の原因遺伝子産物(TSC1およびTSC2)の細胞内での生理機能および機能発現に関わる因子の検索を行った。TSC1およびTSC2は複合体を形成し、タンパク質生合成に関わるシグナル伝達機構を抑制することが明らかとなってきている。我々のグループでは既にTSC2が細胞質基質および膜画分に検出される事を報告し、細胞内での局在性が機能発現に重要である事が示唆された。そこで、本年度はTSC2の細胞膜への結合様式の分子メカニズムおよびその生理的役割について解析した。その結果、TSC2の膜結合にはパルミチン酸付加が必須である事を初めて明らかにした。さらに、薬剤を用いてパルミチン酸の付加を阻害する事により、TSC2のリン酸化状態が変化し、その事により、下流のシグナル伝達機構シグナル伝達機構が活性化された。また、そのとき、TSC2はTSC1と解離し、新たに14-3-3と結合する事が明らかと成った。これらの実験結果はTSC1およびTSC2複合体形成に細胞内での局在が重要な要素である事を裏付けるものであり、また、細胞内で複数の形態でTSC1およびTSC2が存在する事を示唆する結果と考える(投稿準備中)。また、TSC1に結合する因子を網羅的に解析する目的でTSC1をプローブとしてFar-Western Blotting解析法の確立を試みた。その結果、複数の因子が結合する可能性を示唆する結果が得られ、その一つをLC MS/MSを用いた解析法により同定を試みた。その結果、脱ユビキチン化に関わる因子の一つであるUCHL-1が候補として示された。現在その生化学的アプローチからTSC1との結合および生理化学的重要性を検証している。
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