2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580118
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山本 祐司 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教授 (50240130)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / 脂質 / 細胞内局在性 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子ファミリーの一つであるTSC1ならびにTSC2は結節性硬化症の原因遺伝子である。TSC1およびTSC2はそれぞれhamartin、tuberinをコードしており、各々は複合体を形成しタンパク質翻訳の調節因子のひとつであるmTORの活性を負に制御している。しかし、結節性硬化症患者にみられる腫瘍の多様な形態の原因として、この経路の変異だけでは説明しきれず、hamartin、tuberinの新たな生理機能の可能性が示唆されている。一方、Hamartinのアミノ酸配列からこれらタンパク質は膜結合型タンパク質であると予想されて来たが、細胞質基質画分にも両タンパク質が検出されたことから、細胞内局在性がダイナミックに変化することが証明された。従って、膜にアンカーするメカニズムの可能性が示唆され、これらがhamartin・tuberinの新たな機能性の発現の一端を担うものと予想された。そこで、本研究では、tuberinの膜結合メカニズムの着目し、その機能がtuberinにどの様な作用を示すかについて検討を加えた。はじめにタンパク質への脂肪酸付加の可能性について検討した結果、Cos-1細胞をtunicamysinで処理しタンパク質への脂肪酸付加を阻害すると、tuberinが膜か解離したことから、パルミチン酸付加が膜結合に必須であることを見いだした。さらに、tumicamyson処理により膜から解離したtuberinはhamartinとの複合体形成しておらず、なおかつ14-3-3タンパク質と結合することを明らかにした。複数の研究者より、tuberinと14-3-3との結合が報告されているものの、その制御機構については不明であったが、今回、tuberinが脂肪酸付加によって膜に結合し、解離することにより、14-3-3と結合することを初めて見いだした。また、脂肪酸付加を阻害することによりmTORが活性化したことから、tuberinが膜から解離すると、mTOR活性を押さえる機能を失う可能性を明らかにした。
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