2005 Fiscal Year Annual Research Report
ae遺伝子をもつ遺伝的背景の明らかなトウモロコシ胚乳澱粉の性質に関する研究
Project/Area Number |
17580119
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
井ノ内 直良 福山大学, 生命工学部, 教授 (80193621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中浦 嘉子 福山大学, 生命工学部, 助手
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Keywords | トウモロコシ胚乳澱粉 / ae(amylose-extender)遺伝子 / アミロース / アミロペクチン / 糊化特性 / 微細構造 |
Research Abstract |
amylose-extender(ae)遺伝子をもつトウモロコシ胚乳澱粉(ae澱粉)は正常種のnormalトウモロコシ澱粉(normal澱粉)と比較してアミロースおよびアミロースとアミロペクチンの中間画分の含量が高く、アミロペクチンの長鎖画分が多かった。またae澱粉は高い糊化温度、および生澱粉分解酵素に対して低い分解率を示した。澱粉の性質にこのような変化を与えるae遺伝子とその他の澱粉の性質を改変する遺伝子(starch modifying gene)であるdull(du),sugary-2(su2)などが組み合わさった二重、三重変異体トウモロコシの澱粉の性質については多くの報告があるので、本研究ではstarch modifying gene、およびトウモロコシの澱粉含量に影響を及ぼす遺伝子であるshurunken-1(sh1),shurunken-2(sh2),shurunken-4(sh4),brittle-1(bt1),brittle-2(bt2)遺伝子とae遺伝子とが組み合わさった二重、三重変異体トウモロコシの胚乳澱粉の性質を調べた。その結果、ae ; sh4,ae ; bt1以外の二重、三重変異体トウモロコシの胚乳澱粉のアミロース含量はae澱粉と同様な値を示した。一方、アミロペクチンの微細構造においては、ae ; sh2,ae ; bt2澱粉のアミロペクチンの鎖長分布がnormal澱粉とほぼ同じという結果が得られたことから、sh2遺伝子とbt2遺伝子がae遺伝子に対して影響を強く及ぼすことが明らかとなった。またsh1,sh2,sh4,bt1,bt2のすべての遺伝子はトウモロコシ澱粉のアミロペクチン分子全体の分子量分布に影響を及ぼすことが明らかとなった。以上のような澱粉の微細構造の変化に伴う二重、三重の変異体のトウモロコシ胚乳澱粉の糊化特性、生澱粉分解酵素に対する消化性、X線回折図形により明らかな結晶構造の性質についても、ae遺伝子はその他の遺伝子の影響を大きく受けていた。すなわち、ae遺伝子とその他の遺伝子との構造と物理化学的特性に与える影響の優位性に関して、aeとその他の遺伝子(du, su2,sh1,sh2,sh4,bt1,bt2)の導入により、ae遺伝子単独の澱粉特性が大きく変化することが明らかとなった。
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