2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分による脂溶性栄養機能成分の腸管吸収調節に関する研究
Project/Area Number |
17580121
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
長尾 昭彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品素材科学研究領域, ユニット長 (40353958)
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Keywords | β-カロテン / ルテイン / トコフェロール / 消化 / ホウレン草 / 腸管吸収 / 油脂 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
生活習慣病予防に関与すると考えられているカロテノイドやビタミンK等の脂溶性栄養・機能成分は植物性食品に豊富に含まれるが,これらの生体利用性は著しく低い。食餌脂質は,脂溶性栄養機能成分の消化管内での分散媒体,腸管混合ミセルの構成成分,カイロミクロンの構成材料としてその消化・吸収を改善すると考えられるが,その詳細な機構は未解明である。本研究では,食品成分の中でも特に食餌脂質に注目し,カロテノイド等の難吸収性脂溶性栄養機能成分の消化・吸収調節作用を腸管混合ミセルの生成(消化過程)と細胞への取り込み(吸収過程)の観点から詳細に解析する。 18年度では,主として,脂溶性栄養機能成分の腸管混合ミセルへの可溶化(消化過程)に対する食餌脂質の影響を詳細に解析するため,アシル基鎖長の異なるトリアシルグリセロールや遊離脂肪酸にっいて検討した。ホウレン草ホモジネートに各種脂質を加えin vitro消化後,遠心上清を0.2ミクロンのフィルターで濾過し,得られた濾液中のβ-カロテン及びルテインとα-トコフェロールを分析し消化性を評価した。ミリスチン酸及びパルミチン酸以外の炭素数10以上の遊離脂肪酸にβ-カロテンの消化性の促進効果が認められ,一方,炭素数8以上の脂肪酸を結合するトリアシルグリセロールが消化性を促進することを認めた。また,油脂加水分解物の影響を定量的に解析した結果,消化性を高める効果は,トリアシルグリセロールくモノアシルグリセロールくジアシルグリセロール,遊離脂肪酸の順であった。これらのことから油脂の促進効果は長鎖の遊離脂肪酸に起因するものと考えられた。各種野菜のβ-カロテンの消化性を調べたところ,ニンジン以外の野菜では油脂の添加によって消化性が促進された。ニンジンのβ-カロテンの消化性は他の野菜に比べ著しく良好であったが,その原因究明は今後の課題である。
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