2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分による脂溶性栄養機能成分の腸管吸収調節に関する研究
Project/Area Number |
17580121
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
長尾 昭彦 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所・食品素材科学研究領域, ユニット長 (40353958)
|
Keywords | β-カロテン / ルテイン / 可溶性食物繊維 / 消化 / Caco-2 / 腸管吸収 / 油脂 / 糖脂質 |
Research Abstract |
生活習慣病予防に関与すると考えられているカロテノイドやビタミンK等の脂溶性栄養・機能成分は植物性食品に豊富に含まれるが、これらの生体利用性は著しく低い。食餌脂質は、脂溶性栄養機能成分の消化管内での分散媒体,腸管混合ミセルの構成成分、カイロミクロンの構成材料としてその消化・吸収を改善すると考えられるが、その詳細な機構は未解明である。本研究では、これまでに、油脂に関してカロテノイド等の難吸収性脂溶性栄養機能成分の消化過程における腸管混合ミセルへの可溶化に対する影響を明らかにしてきた。本年度は、食品に含まれる食物繊維や複合脂質がカロテノイドの消化過程における可溶化と腸管上皮細胞への取り込みに与える影響を調べた。 可溶性食物繊維と油脂に溶解したβ-カロテンあるいはルテインをinvitroで消化させ、遠心上清を0.2ミクロンのフィルターで濾過し、得られた濾液中のカロテノイドを可溶化カロテノイドとして評価した。アルギン酸では粘度が高いものほどカロテノイドの可溶化を強く阻害した。また、ペクチンも可溶化を阻害した。すでに腸管上皮細胞へのカロテノイドの取り込みが可溶性繊維による粘度増加のため抑制されることを見出していたが、消化管内での可溶化の段階も抑制することが新たに明らかとなった。カロテノイドを含む緑葉野菜には主要な脂質成分として糖脂質が含まれる。これらの糖脂質がβ-カロテンの腸管上皮細胞への取り込みに与える影響をヒト腸管由来Caco-2細胞を用いて解析した。ジガラクトシルジアシルグリセロールなどの糖脂質はリン脂質のホスファチジルコリンと同様に取り込みを抑制することが分かった。また、予備的な実験により一部の糖脂質の脱アシル化物が取り込みを強く促進することを示唆する結果を得た。これらの結果から,油脂やリン脂質以外にも食品中に含まれる糖脂質がカロテノイドの生体利用性に影響を与えることが新たに示唆された。
|