2008 Fiscal Year Annual Research Report
カラマツ人工林の植物の多様性が分解者群集の多様性及び機能に与える影響の解明
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17580132
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
長谷川 元洋 Forestry and Forest Products Research Institute, 木曽試験地, 主任研究員 (70343811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 嘉彦 独立行政法人森林総合研究所, 木曽試験地, 試験地長 (50353800)
壁谷 大介 独立行政法人森林総合研究所, 木曽試験地, 主任研究員 (30353650)
齋藤 智之 独立行政法人森林総合研究所, 木曽試験地, 研究員 (00414483)
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Keywords | 生態学 / 林学 / 分解者 / 多様性 / 群集 |
Research Abstract |
土壌コアごとにデータを解析した結果リターの堆積量および、広葉樹の本数とササラダニ個体数の間に正の相関が認められた。さらに、種組成に及ぼす影響を解析した結果、種組成の違いに影響を及ぼす要因として、リター堆積量と広葉樹本数が選択された。以上からカラマツ人工林における広葉樹の侵入は、ササラダニの群集の種組成に影響を与えていることが示された。 カラマツ、シラカバ、ミズナラの3種の落葉を組み合わせた分解実験において、設置後2年目で42〜58%程度の重量減少が見られ、カラマツのみの場合が、カラマツ+シラカバ以外の4通りの組み合わせと比べて有意に大きい残存重量を持つことが示された。一方、プロット間での差も認められたが、広葉樹の混交度合とは対応しなかった。以上から、設置後2年目では、リタータイプの効果が分解速度に与える影響が示された。一方、サイトの効果である広葉樹の混交度合の影響は現状では少ないと考えられた。 以上から、間伐等によって林冠を明るくし、広葉樹の定着を促すような施業は、植物だけでなく土壌動物にも、カラマツ純林のみとは異なる群集構造を生み出すことになり、地域全体としては多様な群集を含む景観を創成することになる。また、分解速度については、その侵入樹種の応じた速度の促進が見られることが予測される。今後、間伐の手法やその後の維持の手法等を検討して、より生物多様性の高い森林へと変換してゆく様な施業が望まれる。近年、同地域の国有林や県有林のカラマツ人工林においては、強度の間伐を行って混交林への誘導を行っている。その手法については議論が必要だが、生物多様性の面からそうした管理を有益と考える一つの根拠となりうるだろう。
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Research Products
(6 results)