2006 Fiscal Year Annual Research Report
マツESTデータベースを利用したSNP探索とSNPマーカーの開発
Project/Area Number |
17580134
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Research Institution | Forest Tree Breeding Center |
Principal Investigator |
渡邉 敦史 独立行政法人林木育種センター, 育種部育種第二課育種研究室, 室長 (10360471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 圭哉 独立行政法人林木育種センター, 育種部育種第一課先端研究室, 研究員 (60391702)
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Keywords | EST / SNP / アカマツ / クロマツ / 連鎖地図 / サブトラクションライブラリー / 遺伝子単離 |
Research Abstract |
前年度までに、テーダマツのESTデータベースを利用して、SNPマーカーを開発し、連鎖地図上へ位置づける手法開発を行った。今年度は、データベースに頼るのではなく、実際のマツノザイセンチュウを接種したクロマツから遺伝子を単離し、これら単離遺伝子群を基にSNPマーカーの開発を行った。そのため、クロマツ抵抗性個体と非抵抗性個体の接ぎ木クローン個体を作出し、これらにマツノザイセンチュウを接種あるいは非接種に区分し、差分的に発現する遺伝子群を明らかに出来るcDNAサブトラクションライブラリーを構築した。接種から同一日数経過した非抵抗性の接種個体と非接種個体間の形成層部位から構築したライブラリーに基づいて差分的に発現する遺伝子を約500単離した結果、接種した個体では、感染特異的蛋白質であり、PR-5に分類されるThaumatin-like proteinを含む3つの遺伝子が有意に発現していることが明らかとなった。このThaumatin-like proteinはヨーロッパアカマツやモンチコラゴヨウにおいても病害虫侵入後に発現する遺伝子の一つとして既に報告されており、マツノザイセンチュウに対する生体防御関連遺伝子群の一つである可能性が高い。残る2つの遺伝子についても抗菌等に反応することが既知の遺伝子データベースから明らかとなっている。これら生体防御に関連すると考えられる遺伝子群に加え、恒常的に発現すると考えられる遺伝子群を含めた15SNPマーカーを開発し、そのうち、4マーカーについて、マツノザイセンチュウ抵抗性個体群に適用したところ2マーカーで多型が認められたことから、これら遺伝子群を連鎖地図上に位置づけることが可能となった。今後は、単離した遺伝子群のイントロン等より進化速度が速いと考えられる領域をゲノムから明らかにし、より効率的にマーカー化できる手法の開発が必須である。
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