2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然型ラッカーゼメディエーターの検索とグリーンケミストリーへの利用
Project/Area Number |
17580139
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 助教授 (70192549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 助教授 (70322138)
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Keywords | ラッカーゼ / メディエーター / リグニン / パルプ漂白 / バイオレメディエーション / 酸化分解 / 白色腐朽菌 |
Research Abstract |
本年度は、天然型ラッカーゼメディエーター活性画分検出のための簡便なアッセイ系の確立を中心に検討した。 はじめに、最も強力な合成メディエーターである1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)をポジティブコントロールとして用いて、広葉樹未晒パルプのラッカーゼ-HBT系での漂白前後による白色度とkappa価の変化を指標として評価した。その結果、この酵素系処理のみでは、白色度増加やkappa価減少が見られず、反応中に酸素を常時導入し、反応後のパルプをアルカリ抽出しなければ有意差が見られないことから、この方法は簡便なアッセイ法としては不適当であると判断した。 そこで、ラッカーゼ単独では分解できず、メディエーター添加によってのみ分解が認められると報告されている多環式芳香族化合物であるアントラセンを用いたアッセイ系を検討した。その結果、ラッカーゼ-HBT系を用いると、24時間で約60%の分解が確認でき、反応溶液を直接HPLC分析して分解率を算出できる簡便なアッセイ系が確立できた。 そこで、このアッセイ系を用いたカワラタケ菌体および菌体外培養液からのメディエーター検索に着手した。メディエーター候補としては、カワラタケ菌体の水または熱エタノール抽出物と、ラッカーゼ調製時菌体外培養液の限外濾過(分画分子量10,000)で生成する濾液の濃縮物を用いた。HBTの代わりに同量の候補液を加え反応させたところ、全ての候補でアントラセンの分解が認められた。特に、限外濾液に関してはHBTに匹敵する分解率を示し、このフラクションにメディエーターが含まれている可能性が強く示唆された。現在、このフラクションをさらに分画し、メディエーター化合物の単離を試みている。
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