2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 助手 (60273489)
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Keywords | 樹木細胞壁 / リグニン / 木質化 / 免疫標識法 / モノクローナル抗体 / イチョウ / 8-0-4結合 / 分化中木部 |
Research Abstract |
今年度はリグニン中の結合様式の中で最も割合の多い8-0-4型結合を認識するモノクローナル抗体の作製を試みた。リグニンのモノマーが8-0-4型結合で連なった平均重合度4.1のリグニンオリゴマーをp-アミノ馬尿酸を介してウシ血清アルブミン(BSA)と結合させた。このオリゴマー-p-アミノ馬尿酸-BSA複合体を抗原として、マウスモノクローナル抗体を作製した。p-アミノ馬尿酸-BSAに反応せず、抗原に反応するクローンを選択する一次スクリーニングにより、8クローンが得られた。その後のクローニングの過程で4クローンが活性を失い、最終的に抗原に反応する4クローンを得た。得られた4クローンの培養上清を一次抗体とし、二次抗体にProtein A Goldを用いてイチョウ分化中木部を標識し、銀増感した後に光学顕微鏡で観察した。8-0-4型結合を含む2量体を用いたポリクローナル抗体の反応性と比較した。その結果、2量体を用いたポリクローナル抗体では、分化中木部及び成熟木部にかけてごくわずかな標識が観察されたのに対して、得られたモノクローナル抗体ではいずれも分化中木部及び成熟木部の仮道管壁に明らかな標識が観察され、しかも4クローンにおいて、クローンごとで反応性に差が観察された。用いたリグニンオリゴマーは単一の重合度ではなく、実際には2量体から10量体以上までの様々な重合度のオリゴマーの混合物であり、得られたクローンの反応性に差がみられたことから、今回得られた抗体はクローンごとで異なる重合度のオリゴマーを認識している可能性がある。今後、MALDI-TOF-MSを用いて各クローンの抗体がどの重合度のオリゴマーを認識しているかを明らかにしていく予定である。
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