2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規侵入外来種であるアメリカカンザイシロアリの系統発生に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
17580146
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
板倉 修司 近畿大学, 農学部, 助教授 (60257988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 剛 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (40230809)
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Keywords | アメリカカンザイシロアリ / マイクロサテライトマーカー / 外来種 |
Research Abstract |
前年度に開発した10種類のマイクロサテライト領域増幅用プライマー対を用いて、宮城県仙台市、東京都、神奈川県横浜市、神奈川県横浜市鶴見区、京都府京都市、兵庫県神戸市、兵庫県西宮市、兵庫県尼崎市、和歌山県古座川町、和歌山県粉河町、沖縄県沖縄市、採集地不明(国内)、米国カリフォルニア州に生息するアメリカカンザイシロアリ計123個体から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、PCRによる増幅ならびにポリアクリルアミドゲル電気泳動によるPCR増幅産物の分離を行った。エチディウムブロマイドで可視化した1230レーンに存在する対立遺伝子のサイズと数をカウントし、GDA(Genetic Data Analysis)およびRelatednessプログラムを用いてコロニー内の繁殖様式とコロニー間の血縁度を解析した。 コロニー内の繁殖様式に関しては、小さなコロニーとして存在している場合にはinbreedingしている傾向が認められた。しかし、古座川町のように多くのコロニーが同一地域に密集している場所では、inbreedingしているコロニーとoutbreedingしているコロニーが共存していることが示された。 国内コロニーの関連性に関しては、古座川町と西宮市からなるA群と、仙台市、東京都、横浜市、粉河町、尼崎市からなるB群に大きく大別され、さらに後者のB群とカリフォルニア州のコロニーの関連性が高いことが明らかになった。この結果、少なくとも2系統のアメリカカンザイシロアリが国内に侵入していることが示された。 また、隣接している西宮市と尼崎市のコロニー間にはほとんど関連が認められなかった。この結果より、アメリカカンザイシロアリは有翅虫の群飛により生息域を拡大するのでなく、物流や引越しなど人的な活動により被害材が移動されることにより主に国内での生息域を広げていることが明らかになった。
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