2005 Fiscal Year Annual Research Report
スギ木部発現遺伝子の大量解析によるノルリグナン生合成酵素遺伝子の単離
Project/Area Number |
17580147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
吉田 和正 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 室長 (50353909)
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Keywords | スギ / ノルリグナン / 二次代謝成分 / 生合成 / 酵素 / 遺伝子 |
Research Abstract |
スギの木部には、ノルリグナンと総称される二次代謝成分が含まれている。スギのノルリグナン生合成酵素及び遺伝子は単離されておらず、生合成経路に不明な点が多く残されている。本研究は、スギのノルリグナン生合成に関与する酵素の遺伝子を単離し、その遺伝子がコードする酵素タンパク質の特性を解析することにより、ノルリグナン生合成酵素を特定することを目的としている。17年度はスギ丸太の乾燥過程においてノルリグナンが活発に生成している時期を特定し、その時に優勢に発現している遺伝子の収集と塩基配列の解析を行った。 伐採したスギの丸太を室内に静置し、伐採直後、10日後、20日後、41日後及び70日後に辺材を採取した。各辺材に含まれるノルリグナンを分析したところ、伐採直後にはノルリグナンは見出されなかったが、20日後から41日後にかけて、ノルリグナンの一つであるアガサレジノールが顕著に増加していた。 次に、伐採直後の辺材と、ノルリグナンを生成している41日後の辺材からそれぞれRNAを抽出し、サブトラクション法によって41日後の辺材で優勢に発現している遺伝子が濃縮されたcDNAライブラリーを作製した。そのcDNAライブラリーから1,050個のcDNAクローンを無作為に選抜し塩基配列を決定した。同一のcDNAクローンに由来すると考えられる塩基配列を除外し、504個の重複のない発現遺伝子の塩基配列を得た。これらの塩基配列について公共のDNAデータベースを相同性検索したところ、204個は機能が推定されている登録配列と、59個は機能不明の登録配列とそれぞれ類似していた。機能が推定された204個の発現遺伝子は、11のカテゴリーに分類され、最大のカテゴリーである「代謝」には41種類のタンパク質をコードする遺伝子が含まれた。これらのうち「二次代謝」のサブカテゴリーには16種類の酵素をコードする遺伝子が属していた。
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