2007 Fiscal Year Annual Research Report
木材表層への光酸化反応の浸透メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
17580148
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
片岡 厚 Forestry and Forest Products Research Institute, 木材改質研究領域, チーム長 (80353639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 実 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353660)
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Keywords | 木質工学 / 表面・界面物性 / 劣化機構 / 光酸化 |
Research Abstract |
本研究は、光酸化反応が木材表層へ浸透するメカニズムを解析し、光劣化深さの予測と効果的な耐光処理を可能にすることを目的とする。最終年度の19年度は以下のことを明らかにした。 スギ材の表層における紫外線及び可視光線の浸透深さと減衰率を評価し、各波長域でベール・ランベルト式に基づく指数関数的な光量の減衰が起こること、波長の増加に伴い光の浸透深さが大きくなることを明らかにした。しかし、波長の増加に伴い光酸化反応が弱まるため、スギ材に最も強い劣化を与えるのが短波長の紫外線であるのに対し、最も深い劣化を与えるのが波長403nm付近の可視光線(紫色光)であることを明らかにした。また、紫色光の減衰率と光酸化反応速度の関係を検討し、スギ材の深さ700μmに達した光劣化層が、紫色光の浸透によって直接引き起こされた可能性が高いことを明らかにした。さらに、光劣化層の深さが、光照射時間の対数関数として増加したことについては、紫色光の指数関数的な減衰を反映した結果として、合理的に説明できることを明らかにした。 本研究の成果をまとめ、スギ、ヒノキの辺材が光劣化する深さについて、以下のような予測が可能であることを示した。(1)スギ早材の密度が約0.22g/cm^3である場合、屋外光約1年分の光照射により、光劣化層の深さは約700μmに達する。(3)光劣化層の深さは材密度に反比例するため、スギ晩材やヒノキ早・晩材など、スギ早材よりも高密度の材においては、密度比に反比例して光劣化層が浅くなる。例えば材密度が0.33g/cm^3(密度比3/2)の場合、上記の深さ700μmに2/3を乗じた470μm前後の値が予測される。(3)光劣化層の深さは、光照射時間の対数関数として増加する傾向があるため、上記のスギ早材への光照射時間を10倍(屋外光約10年分)まで延長しても、光劣化層の深さは1000μm程度に留まると予測される。
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Research Products
(4 results)