2005 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の脳神経寄生粘液胞子虫病のニューロ・パソロジー
Project/Area Number |
17580157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70261956)
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Keywords | 粘液胞子虫 / 脊椎湾曲 / Myxobolus / 神経病理学 / 増養殖学 / 脳 |
Research Abstract |
1.Myxobolus acanthogobii自然感染魚の病理学的解析 脳神経寄生M.acanthogobiiに自然感染した養殖マサバや天然キタマクラ等を採集し、病理学的な解析を行った。寄生を受けた養殖マサバは外観的にも顕著な後湾(背腹湾)を呈していた。ソフテックス検査の結果、第5から第7脊椎骨で上方に屈曲した後、徐々にS字状にカーブすること、骨折や脱臼は見られないこと等が明らかとなった。脳の病理組織学において、粘液胞子虫のシストが嗅葉、嗅球、視蓋、中脳腔、第四脳室など様々な場所に寄生することがわかったが、脊椎湾曲に関与している部位については特定できなかった。キタマクラについては、外観的に脊椎湾曲は見られなかったものの、組織学的には延髄や脊髄の周辺に多くのシストが観察された。また、M.acanthogobiiのSSU rDNAを標的としたPCR検出系を開発し、37種の天然魚の疫学調査を行った結果、チダイ、イゴダカホデリ、キタマクラが宿主となることが判明した。 2.脳外科手術法の開発 魚(キンギョとトラフグ)を麻酔してから、ダイヤモンドカッターを装着したミニルーターで開頭手術を行い、脳の特定部位に目視でガラスビーズ(径106μm)を埋め込んだ後、外科手術用アロンアルファを用いて切開した頭蓋を接着した。術後の魚を水槽に戻して経過を観察したところ、平衡機能の喪失や「きりきり舞い」などの異常遊泳をする魚が見られた。遊泳パターンはビデオ撮影を行って解析を試みたが、サンプル数が少なかったことと個体差が大きかったことから、有意なデータは得られなかった。その後、魚は徐々に回復し、多くは正常な遊泳を取り戻し摂餌も再開した。以上のように、脳外科手術のプロトコルが標準化され、魚類の脳内に異物を挿入する実験系が開発された。
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Research Products
(2 results)