2005 Fiscal Year Annual Research Report
カレイ類変態期に起こる左右分化の仕組みの解明と養殖魚におこる形態異常の防除
Project/Area Number |
17580163
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田川 正朋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (20226947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有瀧 真人 水産総合研究センター, 宮古栽培漁業センター, 場長 (00426298)
|
Keywords | ヒラメ・カレイ類 / 左右非対称性 / 内分泌系の関与 / 変態 / 体色発現 / ババガレイ / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
我々はこれまでの研究に基づき、変態期に体の左右が異なった形へと分化する仕組みについて、「タイミング説」(正常な稚魚へと変態するためには、もともと決まっている変態最適タイミング、カレイ類では体の片側だけに甲状腺ホルモンの感受性が存在するタイミング、で変態が起こらねばならない)という作業仮説を提唱した。本研究では、まず、このタイミング説が本当に正しいかを更に精密に検討するとともに、多くのカレイ類に当てはまる普遍性を有するかを検証する。本年度は下記の点について検討を加えた。 1.-細胞培養系における稚魚型色素胞へのホルモン作用の検討- ヒラメ受精卵に含まれる多種の細胞を培養し、約1ヶ月後に各種の色素細胞が分化するまでを観察できる培養系の確立を試みた。しかし、培養に用いるウシ胎児血清のロットに由来すると考えられる分化増殖能の不足が観察された。この2月にようやく多少とも良い成績の得られるロットの血清を入手できたので、これを用いて再現性の良い培養系の確立を行いつつある。 2.-甲状腺ホルモン投与実験よるババガレイ最適変態タイミングの決定- 他種のカレイの左右分化にもタイミング説が当てはまるかを明らかにするため、まずババガレイについて検討を進めた。様々なタイミングで甲状腺ホルモンのチロキシンを投与し、変態を起こさせ、変態完了後に眼の位置と左右の体色を基準にタイプ分けを行い、正常魚が最も多く出現するタイミングの決定を試みた。その結果、自然水温で変態を完了するころ(孵化後90日)に近い、孵化後85日からチロキシン投与を行った群で最も正常魚が多く出現した。また正常率は80%に達し、通常の飼育成績よりも遥かに良い結果となった。しかし、生残率が悪く再現性を確認する必要が残った。
|