2006 Fiscal Year Annual Research Report
カレイ類変態期に起こる左右分化の仕組みの解明と養殖魚におこる形態異常の防除
Project/Area Number |
17580163
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田川 正朋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (20226947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有瀧 真人 水産総合研究センター, 宮古栽培漁業センター, 場長 (00426298)
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Keywords | 異体類 / 変態異常 / マヌガレイ / ババガレイ / 甲状腺ホルモン / 成長履歴 / タイミング説 / ヒラメ |
Research Abstract |
我々は、変態期に体の左右が異なった形へと分化する仕組みについて、「タイミング説」(正常な稚魚へと変態するためには、体の片側だけに甲状腺ホルモンの感受性が存在するタイミングで変態が起こらねばならない)という作業仮説を提唱した。本研究では、この説が本当に正しいかを更に検討するとともに、多くのカレイ類に当てはまる普遍性を有するかを検証する。本年度は下記の点について検討を加えた。 1)-細胞培養系における稚魚型色素胞へのホルモン作用の検討- ヒラメ受精卵に含まれる多種の細胞を培養し、約1ヶ月後に各種の色素細胞が分化するまでを観察できる培養系の確立を継続して試みた。しかし、これまで各種の「仔魚型」色素細胞は分化が観察されたものの、目的としている「稚魚型」色素細胞は分化が見られておらず、培養条件の改善を継続している。 2)-同じ水槽で飼育を行っても正常魚や形態異常魚が出現する現象の解明- ヌマガレイで甲状腺ホルモンが分泌される孵化後12日に、ALCを用いて耳石標識を行った。変態後まで飼育を行い、耳石ALC標識の大きさを測定した結果、むしろ成長の速かった個体が白化個体となっていることが明らかになった。即ち、同じ水槽で飼育を行っても個体による成長の良否が原因となって、形態異常の発現が異なると推測された。 3)-ババガレイにおける左右性決定機構に見られる眼と体色の差違- 本年度の飼育実験では死亡率が極めて高く、意味のある結果は得られなかった。一方、平行して行った飼育からは、ババガレイにおいてもタイミング説が成り立っている可能性が強く示唆された。また、本種では甲状腺ホルモン感受性の発現が異常に早期に起こってしまっていることが、通常の飼育では殆どの個体が白化してしまう原因であると推測された。
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