2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域活性化を目指した低利用ローカル資源の有効利用に関する学際的研究
Project/Area Number |
17580166
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大富 潤 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (10253915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 穣 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (30271141)
佐久間 美明 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (30242936)
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Keywords | 地域特産資源 / 漁村活性化 / ジンエンエビ / 分布 / 殻軟化処理 / 生鮮度 / マーケティング / 鹿児島湾 |
Research Abstract |
本研究は,鹿児島湾の低利用資源,Plesionika semilaevis(ジンケンエビ)を地域特産資源として有効利用し,漁村活性化をはかるために,水産資源生物学,食品加工・品質管理学,海洋社会科学それぞれのアプローチに基づく研究で得られた知見を統合・整理して地域に提供することを目的とする。今年度の各アプローチによる実績の概要は以下の通りである。 水産資源生物学的アプローチ:前年度に引き続き,鹿児島大学水産学部附属練習船南星丸を用い,同湾において分布調査を行った。P.semilaevisは湾中央部の2定点で顕著に採集密度が高かったが,水深の深い定点で大型個体の割合が多い傾向が見られた。また,定点問で性比にも違いが見られた。抱卵個体の出現,および胚の発生段階を調べ,繁殖水域の推定も行った。 食品加工・品質管理学的アプローチ:前年度には有機酸と酵素を用いた本種外骨格の軟化処理実験を行ったが,本年度は新たにカルシウムイオンとキレート力の強い有機酸により更なる軟化と"酸味"の低減化を試みた。その結果,前年度に比べて殻の硬さを約13%減少することができた。さらに,官能評価においても"殻の硬さ","舌触り","酸味"および"エビの風味"の項目において優れていた。 海洋社会科学的アプローチ:最近10年ほどは,本種は低価格ながら漁家で頭を除去して取引されているが,知名度は低く,需要が限られているために漁獲量が増えると価格が大幅に下がる傾向にあることが,現地調査により明らかとなった。今年度より,当該漁協の加工場で本種や小型のナミクダヒゲエビの殻剥きや真空パックをグループ共同で行い,外食産業に出荷すること等が計画されることとなった。 本種のような低利用資源の活用には研究者,行政,漁協系統団体等が漁業者や消費者と情報交換を密にすることが重要と思われた。なお,成果の一部については特許申請中である。
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Research Products
(1 results)