2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム多型による広域性赤潮藻類の広域化過程並びに個体群動態の解析に関する研究
Project/Area Number |
17580168
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉川 毅 Kagoshima University, 水産学部, 准教授 (10295280)
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Keywords | 赤潮 / Heterosigma akashiwo / 個体群・種内識別 / 遺伝子マーカー / 葉緑体DNA / DNA多型 |
Research Abstract |
水産増養殖業に多大な被害を与えている赤潮の防除技術の開発を目的として、赤潮原因藻hterosigma akashiwoの個体群・種内識別指標としての遺伝子マーカーの確立を試みた。 1H. akashiwo葉緑体DNAからのDNA多型の検出 H. akashiwo K95-Hyから葉緑体DNA上の16S rDNA-rbcL間領域をlong PCRにより増幅し、得られた15kbpの増幅産物の塩基配列を決定した。その結果、H. akashiwo葉緑体DNA上の遺伝子構造は16SrDNA-23S rDNA-ycf35-rbL32-thiG-rbcL-rbcS-cfxQ-psbAであることが明らかとなった。 2遺伝子マーカーを用いた環境DNAからのH. akashiwoの検出 葉緑体DNA上に確立した遺伝子マーカーによって識別されるH. akashiwo NIES-5株、 NIES-6株培養細胞を鹿児島湾より採水した天然海水に添加し、この海水に存在する微生物のDNA(環境DNA)を調製した。遺伝子マーカーに基づき環境DNAからのH. akshiwoの検出を試みた結果、NIES-5、NIES-6のDNAをそれぞれ特異的に検出し、またそのバンド強度は添加した細胞密度を反映した。このことから、葉緑体DNA上に確立した遺伝子マーカーが赤潮現場海域においても有用である可能性が示唆された。 3chattonella属葉緑体DNAからのDNA多型の検出 H. akashiwoと同様ラフィド藻綱に属する赤潮原因藻Chattonella marinaについてrbcL-psbA遺伝子間領域をPCR増幅し、その塩基配列を決定した。その結果、H. akashiwoと同様の遺伝子構造を持つことが明らかとなり、H. akashiwoとC. marinaの葉緑体遺伝子構造の類似性が示唆された。
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