2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
沖野 龍文 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教授 (30280910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 育子 首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 客員研究員 (50381447)
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Keywords | フェニルアラニン / ウニ / ナマコ / 変態誘起物質 / ヒスタミン / Ulvella / 天然珪藻 / 種苗生産 |
Research Abstract |
棘皮動物幼生の着底・変態に関与する化学物質を明らかにするために、水産有用種であるナマコとウニの幼生を用いて実験を行った。 まず、マナマコ幼生を、ナマコ種苗生産現場で用いられている天然珪藻、ウニ種苗生産に用いられる緑藻Ulvellaおよび低分子有機化合物に曝露させ変態誘起作用について検討した。ナマコに用いられる天然珪藻よりも、ウニに用いられている緑藻Ulvellaによる変態率の方が高かった。甲状腺ホルモン、L-DOPA、γ-アミノ酪酸(GABA)、ヒスタミン、アセチルコリンなどの19種の低分子有機化合物には反応しなかった。緑藻Ulvellaのナマコに対する変態誘起作用が、ウニに対する作用と共通のものであるかどうか今後検討する。 エゾバフンウニおよびキタムラサキウニ幼生を用いてウニ種苗生産に用いられる緑藻Ulvellaの水溶性画分からウニ幼生変態誘起物質を探索した。変態誘起作用を指標に高速液体クロマトグラフィーなどを用いて精製したところ、フェニルアラニンを単離した。フェニルアラニンは、1μg/mLという低濃度で反応したが、幼生の変態過程を完了させることはできず、幼生組織の退縮を促進させる作用を示したのみであった。また、ウニ幼生はヒスタミンに反応し、変態過程のひとつである管足の出現が観察され、着底する様子が観察された。さらに、緑藻Ulvella水抽出物をアミノ酸分析に供したところ、フェニルアラニンは遊離アミノ酸の1%に過ぎなかった。ウニ幼生の変態現象はフェニルアラニンを含む複数の物質によって制御されると考えられる。
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