2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580182
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小瀧 裕一 北里大学, 水産学部, 助教授 (30113278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
武田 重信 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 助教授 (20334328)
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Keywords | 記憶喪失性貝毒 / ドウモイ酸 / イソドウモイ酸 / Pseudo-nitzschia multiseries / Nitzschia navis-varingica / 細菌 / 鉄 / 珪藻 |
Research Abstract |
(1)細菌単独のドウモイ酸生産:珪藻と細菌の相互関与によるドウモイ酸(DA)生産を実証する第一歩として、細菌単独ではDA生産が起こらない可能性を培養実験で追求した。すなわち高度にDAを生産するPseudo-nitzschia multiseriesをnon-axenic培養し、DA濃度が上昇し始める培養1週目とDA濃度が明らかに上昇した3週目に、フィルターで珪藻を除いた細菌を含むろ液画分を調製し、同条件で培養を続けた。その結果、珪藻を含む元の培養はDAを高度に生産したのに対し、珪藻画分を除いたろ液画分ではDA生産は認められなかった。また、同種のaxenic培養にDA生産enhance能を有する細菌を添加した培養実験も実施し、同じ結果を得ている。この結果は細菌単独ではDA生産が起こらないことを示唆する。 (2)P.multiseriesのaxenic培養をnon-axenic培養中で分画分子量約12,000の透析膜で隔てて培養するとnon-axenic培養は高度なDA生産能を示すがaxenic培養はほとんどDAを生産しないことがこれまで確かめられている。今回は分画分子量50,000の透析膜で両培養を隔てた培養実験を行ったが、axenic培養が早めに死滅してしまい明瞭な結果は得られなかった。 (3)Nitzschia navis-varingicaにおけるDA生産と鉄の取り込みの関係:P.multiseries同様高度なDA生産能を示すN.navis-varingicaのnon-axenic培養を行いDA生産と鉄の関係を調べたところ、P.multiseries同様培地中の溶存鉄が枯渇したあと単位細胞当たりのDA倉量の増加が見られ、それとパラレルに細胞中の鉄含量の増加が観察された。この結果はN.navis-varingicaにおいてもDA生産が鉄の取り込みに関連して起こることを示唆する。 (4)N.navis-varingicaのASP毒組成:DA異性体のイソドウモイ酸A(IA)やB(IB)生産株を分離したフィリピンに加えて、わが国やペトナムのN.navis-varingicaの毒組成を調べたところ、DA+IBタイプが主でフィリピンで分離されたIA+IBタイプは見つからなかった。DA+IBのある株を無菌化するとその組成がIA+IBに変わり、その培地画分をnon-axenicのそれで置換するとDA+IBに戻る現象が見られた。この結果はある種の細菌がASP毒組成に影響を及ぼすことを示唆する。
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Research Products
(6 results)