2006 Fiscal Year Annual Research Report
キチンの高度有効利用に役立つ海洋生物由来キチン分解酵素の構造と反応機構の解析
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17580183
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松宮 政弘 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (60150702)
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Keywords | キチナーゼ / α-キチン / β-キチン / バイオマス / キチンオリゴ糖 / 基質分解特性 / N-アセチルグルコサミン / 遺伝子 |
Research Abstract |
1.カサゴ胃キチナーゼアイソザイムを精製し、それらの基質分解特性を調べた。カサゴ胃より56,52および46kDaのキチナーゼアイソザイムが得られ、56kDaキチナーゼのN-末端アミノ酸配列はアイナメ胃62kDaと一致し、52および46kDaのそれはアイナメ胃51および47kDaと高い相同性を示した。N-末端アミノ酸配列のfamily間相同性およびβアノマー生成分解様式より、いずれもfamily18キチナーゼに属すると判断された。また、3種のアイソザイムはいずれも結晶性キチンに対して広い基質分解能を示し、イカβキチンを最も良く分解したが、エビ・カニ・カイコ幼虫αキチンも分解した。いずれも高分子、低分子基質を酸性域で良く分解し、56kDaはキチンオリゴ糖の非還元末端より3番目の、52および46kDaは2番目のグリコシド結合を良く加水分解した。カサゴはエビ・カニαキチン分解キチナーゼを複数持つ初めての魚種であった。 2.スルメイカ肝臓より硫安分画、疎水性カラムおよびゲルろ過カラムを用いたクロマトグラフィーによりβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼを精製した。精製酵素の分子量はゲルろ過より125kDaと推定され、反応の最適pHは4.0、最適温度は70℃で、Km値は0.23mMであった。本酵素はGlcNAc_3を分解してβアノマーの単糖を生成したことより、キチンオリゴ糖の非還元末端より単糖を遊離する酵素であることが判明した。 3.アイナメ胃62kDaキチナーゼのN-末端アミノ酸配列およびファミリー18キチナーゼの保存配列より縮重プライマーを設計し、胃より調整したcDNAをテンプレートに用いてPCRを実施した。これより350bpの増幅を認め、配列を解析した。この情報をもとにさらに5'および3'RACE法により上流および下流域を増幅させ、全長の塩基配列を決定した。
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