2007 Fiscal Year Annual Research Report
キチンの高度有効利用に役立つ海洋生物由来キチン分解酵素の構造と反応機構の解析
Project/Area Number |
17580183
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松宮 政弘 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (60150702)
|
Keywords | キチナーゼ / バイオマス / α-キチン / キチンオリゴ糖 / 基質分解特性 / N-アセチルグルコサミン / 遺伝子 / クローニング |
Research Abstract |
1. 紅藻イボツノマタよりキチナーゼアイソザイムを精製し、それらの基質分解特性を調べた。紅藻イボツノマタより硫安分画ならびに数種のカラムクロマトグラフィーを用いて、3種のキチナーゼアイソザイム(Chi-A,24.5kDa,pI3.0;Chi-B,25.5kDa,pI4.6;Chi-C,24.5kDa,pI<3.5)を精製した。Chi-AおよびCの最適pHおよび最適温度はpH2.0、80℃、Chi-BではpH1.0、70℃であった。いずれもキチン吸着能を欠き、N-末端アミノ酸はブロックされていた。N-アセチルキトオリゴ糖に対し、いずれのアイソザイムも5糖以上を分解し、βアノマーの3糖を生成した。これらの結果より、いずれもfamily18キチナーゼと同様にリテイニングメカニズムで基質を分解すると判断された。また、非還元末端より3番目または4番目のグリコシド結合を分解することが判明した。3種のアイソザイムはいずれも結晶性キチンに対し、イカβキチンを最も良く分解し、エビ・カニ・カイコ幼虫αキチン分解能は低かった。 2. シログチ胃より硫安分画、アファイニティー、イオン交換、疎水性カラムを用いたクロマトグラフィーによりキチナーゼを精製した。精製酵素の分子量はSDS-PAGEより42kDaと推定され、pIは6.75であった。反応の最適pHはコロイダルキチンに対して4.0、pNp-GLcNAc2に対して2.5で、最適温度は60℃であった。本酵素のN末端アミノ酸配列はヒラメ胃キチナーゼ(chi-1)と一致した。N-アセチルキトオリゴ糖に対し本酵素はfamily18キチナーゼと同様にリテイニングメカニズムで基質を分解し、非還元末端より2番目のグリコシド結合を良く加水分解した。 3. マサバ胃38kDaキチナーゼのN-末端アミノ酸配列およびファミリー18キチナーゼの保存配列より縮重プライマーを設計し、胃より調整したcDNAをテンプレートに用いてPCRを実施した。これより350bpの増幅を認め、配列を解析した。この情報をもとにさらに5'および3'RACE法により上流および下流域を増幅させ、全長の塩基配列を決定した。
|
Research Products
(7 results)