2007 Fiscal Year Annual Research Report
再編麦政策下における新たな小麦生産・流通システム構築に関する研究
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17580187
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横山 英信 Iwate University, 人文社会科学部, 教授 (70240223)
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Keywords | 麦政策 / 品目横断的経営安定対策 / 小麦 / 水田裏作 / 集落営農組織 |
Research Abstract |
本年度は,まず,九州北部の大小麦産地である福岡県柳川市における小麦生産・流通をめぐる動向について柳川農協ならびに生産農家に対する聞き取り調査を行った。そこからは,(1)従来柳川市では小規模農家が個別に水田裏作として小麦を生産してきたが,「品目横断的経営安定対策」の開始に伴って急ピッチで集落営農組織を立ち上げたこと,(2)柳川市ではこの集落営農組織をべースに置き,新品種導入や販路確保によって今後の地域麦作を発展させていくことを考えていたこと,(3)しかし,「品目横断的経営安定対策」初年度において麦単位重量当たり生産者手取額は減少することとなり,同対策の仕組みの問題点が顕在化したこと,(4)それゆえ,今後の地域麦作の維持・発展のためには「品目横断的経営安定対策」の仕組みの改善が必要があること,が明らかになった。 また,本年度は本研究の最終年度であることから,昨年度・一昨年度の研究成果も併せて本研究の最終取り纏めを行った。そこでは,再編麦政策下における新たな小麦生産・流通については,「品目横断的経営安定対策」の仕組みの改善を前提としつつ,(1)需要に対応した,その地域の土壌・気象条件に適した品種を導入すること,(2)実需者との関係では高品質もさることながら,品質の均一性も相当重要な要素であるため,とくに大小麦産地であって大手製粉メーカーとの取引が主軸になっている地域では,農協が主導する形で各生産者の生産管理の統一化を図ること,(3)大手との取引もさることながら,根強い地場指向を睨んで地産地消的な麦の販売ルートを開拓していくこと,(4)そのためにも地元の小麦第2次加工業者との提携も追求していくこと,(5)機械共同利用組織のようにコスト削減に向けた取り組みをさらに強めていくこと,が求められることを明らかにできた。
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Research Products
(1 results)