2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 芳宏 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (40283650)
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Keywords | 農業史 / ドイツ農業 / 東ドイツ / 入植政策 / 戦時ドイツ農政 |
Research Abstract |
本研究は、農業入植政策と農業労働者問題の2つの問題系譜から戦前と戦後のドイツ農業の断絶と連続性を検証することを目的とした。本年はとくに研究成果をまとめることに主眼をおいたこと、および国内文献調査や研究会参加を優先したため現地ドイツの史料調査は行わなかった。 本研究では平成17年度と平成18年度に戦後の東独農村再編のあり様を戦前期との関連で入植史的視点から分析することに目的として史料調査を行ったが、平成20年度はその分析に基づく成果を論文化した。第一に、『農業史研究』第43号に発表した論文では、戦時期のナチス占領地入植政策あり方を踏まえた上で、とくに戦後の土地改革・集団化を、元農民の有力難民の新農民層に焦点をあてて入植史として議論しようとした。第二に、『生物資源経済』第14号に掲載した論文は、戦時期入植との関連は間接的であるが、戦後東独農村においてMTSの大型機械と政治的介入をテコに大規模機械化に準じた農村空間が作られていくありようを論じたものである。 戦前・戦時期については、昨年までの収集資料の解読と図書館の文献複写サービスを利用した内地入植史関連文献の収集に努め、戦時食糧問題に関する文献の読み込みを行った。ポーランド地区は「民族ドイツ人」入植政策の対象として位置づけられたのに対し、ルーマニア・ブルガリアなどの南欧「同盟国」、さらにウクライナなどの占領区はドイツ本国の食糧基地として位置づけられたこと、また国内の戦時食糧問題に関しては、油糧作物やバターがネックであるがこれは相対的に国内生産への切り替えに成功していること、逆に1943年以降、ネックとなるのはジャガイモと養豚であることなどがわかってきた。ただし未だ断片的で本研究の主旨に対応する結論の見通しをもつにいたらなかった。今後の課題としたい。
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Research Products
(2 results)