2005 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地に定着する植物-微生物共生系の養分・水獲得機能を利用した荒廃地の環境修復
Project/Area Number |
17580211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
立石 貴浩 岩手大学, 農学部, 助教授 (00359499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 助教授 (60311544)
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Keywords | 共生 / 菌根菌 / 荒廃土壌 / 土壌微生物 / 養分動態 / パイオニア植物 / 環境修復 / 水収支 |
Research Abstract |
北上山地の準平原には、風衝、凍結による母岩の露出や土壌の荒廃した地点が点在するが、そのような寒冷荒廃地では、貧栄養や冬期の低温にも関わらず、先駆植物群落が部分的に定着している。このような寒冷荒廃地に定着する草本群落は、生存のため限られた養分資源を効率的に獲得するシステムを持っているものと思われる。本研究では、寒冷貧栄養環境に定着する2種の植物群落について、植物の養分吸収量、土壌中の養分現存量、および土壌微生物学的性質を分析することで、土壌微生物を介した養分獲得機構を解明することを目的とした。岩手県北部に位置する安家森(標高1,239m)の山腹に広がるシバおよびミノボロスゲの各群落において、2005年5月〜2005年11月の間に、土壌および植物体を採取し、土壌の理化学性、土壌微生物バイオマス、植物の乾物重、植物中の養分含有量、根系のアーバスキュラー菌根菌(以下AM菌)感染率を測定した。加えて、現地でのリター分解実験および実験室内での土壌長期培養試験を実施した。その結果、植物群落が異なると、土壌の化学的性質の一部に差が認められた。土壌微生物バイオマスCおよびNは、それぞれ180〜600mg C/kgおよび40〜290mg N/kgの範囲にあった。土壌長期培養試験より、土壌微生物バイオマスの代謝回転時間は、27〜42日と推定された。このことは土壌微生物バイオマスの成分が比較的短い期間で更新されることを示しており、微生物バイオマス中の養分は、植物に対する可動性養分として機能していることが明らかとなった。リター分解実験より、物理的、生物的分解により放出された養分は、植物への養分の供給源として寄与していることがわかった。土壌中の可給態リンは非常に少なかったが、現地植物のAM菌感染率の評価、現地黒ボク土を用いたAM菌接種試験より、AM菌は黒ボク土に固定されたリンの可給態化に関与していることが明らかにされた。
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