2008 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地に定着する植物-微生物共生系の養分・水獲得機能を利用した荒廃地の環境修復
Project/Area Number |
17580211
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
立石 貴浩 Iwate University, 農学部, 准教授 (00359499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 教授 (20196207)
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
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Keywords | 共生 / アーバスキュラー菌根菌 / 荒廃士壌 / リン / 土壌修復 |
Research Abstract |
北上山地の準平原には、土壌の荒廃した地点が点在するが、土壌の貧栄養状態や冬期の低温にも関わらず、先駆植物群落が定着している。昨年度までの研究で、この様な植物は、共生微生物を介した効率的な養分獲得システムを有している事を指摘した。本研究では、この特性が、寒冷荒廃地での土壌修復と植生の早期回復に利用できるかどうかを、岩手-青森県境産業廃棄物撤去跡地の現地調査に加えて、同地点の下層土を荒廃地のモデル土壌として用いたポット試験により検討した。産廃跡地の投棄物撤去跡地、および周辺部の木本・草本が生育する対照区より、表層および下層め土壌を採取じ、土壌の理化学性、およびアーバスキュラー菌根菌(以下AM菌)胞子数や採取植物へのAM菌感染状況を調べた。撤去区土壌では対照区に比べて、全炭素含量、全窒素含量、可給態リンともに低く、きわめて貧栄養の状態にあった。対照区で生育している草本植物には、AM菌が盛染しており、その感染率は約60%であった。一方、撤去区にはわずかに周辺部より侵入した草本が定着しており、一部の草本の根には胡菌が感染していた。撤去区および対照区の土壌を用いて、白クローバーを宿主としたAM菌トラップカルチャーを実施したところ、対照区での胡菌感染率は40%程度であったが、撤去区土壌では、感染は認められなかった。以上の結果より、撤去後に露出すると思われる土壌では、貧栄養の状態に加えて、AM菌プロパギュールも皆無であるため、AM菌プロパギュール、宿主となる草本種子、両者が共生し定着できるための最小限の養分資源を現地土壌へ導入する必要があることがわかった。そこで、土壌へのリン酸吸着も考慮して有機態リンを含む少量の有機質資材を撤去区土壌に添加し、これを培土としてAM菌胞子を接種した自クローバーをポット栽培したところ、白クローバーは、AM菌の感染に依存せず、資材由来のリンを吸収していることが示された。
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Research Products
(3 results)