Research Abstract |
軟弱地盤上の土構造物は,何年にも渡り圧密沈下の影響を受けるために,時間経過を考慮した性能評価を行う必要が有る.農業土木構造物に限ると,干拓堤防は軟弱地盤上に建設されている場合が多く,その規模は長大である.本研究は,その様な圧密変形の影響を受ける土構造物の性能を評価し,最適な維持管理法決定手法の開発を目的とする.通常,軟弱地盤では施工の際に,変位や間隙水圧が計測される.ここでは,長期の(10〜20年程度)の維持管理を念頭に置いているため,計測値に基づいて維持管理計画を変更できる方法を念頭に置いている. 研究は,具体的には,1.圧密変形評価モデルの検討,2.現場計測値に基づいた将来変位予測法の開発を行った.最適な構造物の維持管理のためには,正確な変形予測法が必要である.今回は,二次元圧密模型実験を実施し,軟弱地盤の多次元的な挙動を正確に予測する手法の開発に力点置いた.具体的な結果は次のとおりである. (1)二次元圧密試験の実施 実験材料として,カオリン粘土(低塑性),海成粘土(高塑性)を用いて圧密試験を実施した.計測値として供試体の複数点の変位と間隙水圧を計測した.19年度は,18年度の試験結果を検討し,追加試験を実施した. (2)逆解析に対応した簡便な変形予測モデルの開発 モデルは,圧密硬化,せん断による応力ひずみ関係の非線形性,および異方性を評価できるものである.逆解析に対応した変形予測モデル開発に当たっての留意点としては,モデルを可能な限り単純化することである.得られた実権計測データに基づいて逆解析を実施し,適切な変位予測が行えるかどうかを確認した.初期の計測データを用いてパラメータ同定を行い,将来の変位予測を実施した.実測値と予測値を比較し,問題点を検討した.
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