2007 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄地方における遊休農地の植生が持つ微細土砂捕捉機能の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
17580219
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
塩野 隆弘 National Agricultural Research Organization, 農村工学研究所・農地・水資源部・農地工学研究室, 主任研究員 (30343982)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 暢朗 九州沖縄農業研究センター, 土壌環境標研究チーム, 上席研究員 (30370620)
|
Keywords | 微細土砂 / 植生 / 土砂輸送 / 土砂沈降 / 赤土流出 |
Research Abstract |
本研究は、沖縄地方の赤土流出軽減対策として遊休農地を緩衝帯として活用することを検討するため、植生が持つ微細土砂捕捉機能を評価する手法を構築することを目的とした.本年度は、植生の土砂捕捉現象の再現モデルの現地適用性を検証し、植生が持つ微細土砂捕捉機能を評価した. 植生条件下における微細土砂の輸送・堆積現象の再現モデルの現地適用性の検討には、草生帯による赤土流出防止実験での野外観測データを用いた.草生帯の野外実験は、2003年と2004年に沖縄県名護市の国頭マージ土壌からなる畑地試験区で行われた.本モデルによる計算結果は、草生帯の植生を通過した表面流出水の土砂濃度と流出土砂量の現地観測結果をおおむね再現した.これにより、本モデルが赤土流出防止として用いる植生の土砂捕捉機能を評価するツールとして有用であることが示唆された. 本モデルを用いた感度分析によって、植生がもつ土砂流出軽減効果と各種影響因子の関係を明らかにした.その結果,植生の流れ方向の長さと植生への流入水の流量が、土砂流出軽減効果に大きく影響する因子であることが明らかとなった.一方,地形勾配や流入水の土砂濃度は、土砂流出軽減効果に大きな影響を与える因子ではないことが分かった.次に、本モデルを用いて多様な条件における数値シミュレーションを行い、植生が持つ微細土砂捕捉機能の評価を行った.植生が持つ微細土砂捕捉効果は、植生の流れ方向の長さの増加とともに向上するが、その向上率は長さの増加とともに減少することが明らかとなった. 以上のことから、当初の目的はおおむね達成された.今後は、現地で想定される多様な植生条件に適用できるように植生の流れ抵抗に関するパラメータを準備する必要がある.
|