2006 Fiscal Year Annual Research Report
果菜類接ぎ木苗の活着及び順化程度の情報化と養生装置の開発
Project/Area Number |
17580226
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西浦 芳史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (80221472)
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Keywords | 接ぎ木 / 養生 / 活着 / 環境制御 / 植物生理 / 植物生体情報 / 植物ホルモン / 画像計測 |
Research Abstract |
接ぎ木苗の活着に最適な環境条件と活着とを結びつける知見が不足しているのが現状である。養生環境の設定に還元できる活着の情報を得るために、本研究では木部の再生に着目し、活着程度の評価方法を構築した。木部の通水能力を相対的に比較するには、一定の負荷に対する応答能力を計測する必要がある。茎軸内の通水が主に蒸散による負圧に依存することから、本研究では手動式真空ポンプ(VPケニス)を用いた一定の吸引圧力下における通水量を通水能力として、その計測システムを構築し、通水量が計測できた。また、接ぎ木後に再生された木部の通水経路を明確に観察するには、それらを断面による一面観察ではなく、立体的にとらえることが木部の再生程度や繋がりを理解する上で有効である。トマト('桃太郎')実生苗の茎部の一部に傷害を与えた場合に再生する木部を対象に、通水経路を立体的に観察できる方法を検討した。木部を染色した茎軸の連続横断面から通水経路の三次元モデルを作成する方法と、木部を染色した茎の表皮や皮層を環状除皮(剥皮)して木部を観察表面上に露出させる方法を比較した。その結果、後者の観察方法が、処理が短時間で容易であることと、再生された木部を連続的かつ詳細に観察できることで前者よりも優位であった。さらに、後者の方法を改良し、観察部位を環状除皮してから染色を行うことと、除皮部の広範囲を一度に撮影できるように観察部位の後ろへ鏡(表面反射鏡2枚が成す角度を90度にして固定したもの)を設置することを新たに提案した。このことにより、今まで観察できなかった、木部における染色の経路やその経路における流れ方などを、動的に観察できることとなった。 活着と順化を同時進行させる上で、穂木の水分状態をみながらの養生が慣行で行われているが、苗に与える水ストレス環度と苗に備わる通導能力や環壇耐性により生じる苗の萎れを非侵襲計測手法である画像計測を用いることで把握し、この情報をフィードバック信号として利用することで養生環境を自動的に制御することを目標とし、実生苗と接ぎ木苗の群落を対象に、俯瞰による画像撮影を行い、撮影した画像に対して画像の特徴量を計測した。撮影画像と各特徴量を比較した結果、苗に大きな萎れが生じた際には、苗投影面積は減少し、苗の萎れが進むと葉が下へと湾曲することによりその投影面積を減少させることと一致した。
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