2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌起源のリン酸化多糖の免疫賦活化能の解明とその利用
Project/Area Number |
17580233
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 順子 東北大学, 農学部, 技術専門職員 (10241556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 忠夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00118358)
北澤 春樹 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (10204885)
川井 泰 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (00261496)
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Keywords | リン酸化多糖 / デキストラン / リン酸化 / 幼若化活性 / 免疫賦活化能 / アレルギー / サイトカイン / 細胞表面抗原 |
Research Abstract |
[目的]我々のこれまでの研究成果から,乳業用乳酸菌由来の菌体外多糖(EPS)の生理活性発現にはリン酸基の存在が重要であることが立証された.そこで本研究ではデキストラン(Dex)の安全かつ効率的なリン酸化の方法を確立するとともに,リン酸化デキストラン(P-Dex)の免疫調節作用特性について解析し,とくにP-Dexのアレルギー予防・改善作用について検討した。 [方法および結果]Dexのリン酸化はリン酸緩衝液法により化学的に行った.pHと温度条件を検討した結果,pH5.0,160℃で24時間加熱することにより,最大リン含量(6.8%)のP-Dexが調製できた.Dexはリン酸基の導入により,マウス脾臓細胞に対する幼若化活性が有意に誘導された.また,各種リン含量の異なるP-Dexにおいて活性が異なったことより,リン含量と幼若化活性との間に相関関係があることが示唆された. さらに,オボアルブミン(OVA)感作マウスにおいて,感作期間内もしくは終了後にP-Dexを経口投与し,抗原刺激に対する細胞増殖活性や細胞表面抗原発現の増強ならびにサイトカイン発現変動について解析し,P-Dexの効果を評価した.その結果,P-Dex投与群では,in vitroでOVA再刺激をした際に,樹状細胞におけるCD86発現を低下させ,Th1系サイトカインのmRNA発現を増強した.一方,Th2系サイトカインのmRNA発現は,P-Dex非投与群と比較して低下した.また,P-Dex投与によりIL-10mRNA発現が増強され,in vitroにおけるOVA再刺激に対する細胞増殖活性を低下させた. 以上より,マウスモデルにおいて,P-Dexは,Th1系細胞およびレギュラトリー細胞の両者を活性化することで,アレルギーの改善性を発揮することが示唆された.
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