2006 Fiscal Year Annual Research Report
家畜における安定同位元素を用いた微量ミネラル利用性評価法の開発
Project/Area Number |
17580235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40181680)
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Keywords | 安定同位体 / 亜鉛 / ブタ / 見かけの吸収 / 真の吸収 / 内因性糞中排泄 / ICP-MS |
Research Abstract |
飼料中フィチン酸はブタの亜鉛利用性を抑制し、フィターゼはその作用を低減することが知られている。フィターゼはフィチンを分解し亜鉛吸収を抑制すると考えられているが、ブタにおいて亜鉛吸収に及ぼすフィターゼの効果は明らかではない。本試験では安定同位体である67Zn(天然存在比4.1%)をトレーサーとして用い、フィターゼが亜鉛の吸収ならびに糞中内因性亜鉛排泄に及ぼす影響を検討した。離乳子豚10頭を用い、亜鉛要求量を満たしているトウモロコシ・大豆粕主体の飼料(亜鉛含量,90mg/kg;フィチン態リン,0.26%)を1日12時間給与した。飼料には非吸収性マーカーとして酸化クロムを添加した。また、5頭の飼料には750PU/kgの麹菌フィターゼを添加した。試験開始時に67Znで標識した200gの各飼料を絶食後2時間給与した。その後は各非標識飼料を給与した。5日間糞を採取し、糞中亜鉛ならびにCrを原子吸光分析器で、糞中67ZnエンリッチメントをICP-MSにより測定した。糞中総亜鉛ならびに67Zn排泄から、亜鉛の真の吸収と見かけの吸収を求め、これらの差から糞中内因性排泄を算出した。糞中67Znエンリッチメントは、トレーサー投与3日目以降急激に低下し、特に4、5日後では著しく低くなった。見かけの亜鉛吸収は両区の間に差は生じなかった。一方、真の吸収はフィターゼ添加により有意に増加した。また、内因性糞中排泄はフィターゼ区で増加傾向が認められた。以上の結果から、飼料中フィターゼはフィチン酸を分解し亜鉛の吸収を促進すること、亜鉛吸収の増加に伴い内因性糞中排泄が促進されることが示された。
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