2005 Fiscal Year Annual Research Report
PCR-DGGEによるサイレージ微生物の群集解析と品質評価への応用
Project/Area Number |
17580236
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西野 直樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50237715)
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Keywords | 飼料 / 微生物 / サイレージ |
Research Abstract |
1.食品廃棄物を多用したTMRサイレージの微生物フローラ サイレージの好気的変敗は未だに解決されていない問題であるが、食品廃棄物を多用したTMRサイレージは開封後きわめて変敗しにくい。そこで、ビール粕を主体とするTMRサイレージを調製して、開封後の好気的安定性に関わる微生物因子の解明を試みた。6種類の飼料を混合したTMR(ビール粕:乾草:トウモロコシ:フスマ:ビートパルプ:糖蜜=5:1:1:1:1:1)をパウチサイロに詰め込み、嫌気的貯蔵過程および開封後の変敗過程における微生物群集の変化を調査した。 貯蔵期間が短いと(>7日間)TMRサイレージでも変敗したが、貯蔵期間を長くすると(>14日間)開封後の変敗は起こらなくなった。開封時の酵母数が>10^5cfu/gでも変敗しないという従来の知見とは異なる特徴が示されたが、これらの変化を説明する生菌数の変化は認められなかった。PCR-DGGEの結果、貯蔵期間の延長にともなってLactobacillus buhcneriが優勢菌となることが明らかとなり、TMRサイレージの好気的安定性にはL. buchneriが関与していることが示唆された。 2.実規模ロールベールサイレージにおける微生物分布の不均一性 ロール内あるいはロール間における変動は、これまで主に飼料成分含量について調べられてきた。しかし、家畜の衛生や健康に資する飼料生産を実現するには、微生物フローラの変動を把握ならびに制御することが必要である。そこで、PCR-DGGEを行って微生物フローラの不均一性を調べた。 岡山県総合畜産センターで栽培したイタリアンライグラス2番草を用いた。5日間予乾して低水分ロールベールサイレージを調製し、約3ヶ月後に開封してそれぞれのロールから8ヶ所ずつサンプリングした(n=24)。 生菌数は採取部位による違いがまったくみられなかった。ロール間の違いも明確ではなく、有意性が認められたのはバチルスと酢酸菌だけであった。採取部位による微生物フローラの違いはDGGE電気泳動像からみても大きくなかったが、一部の採取部位において他にはない細菌種が優勢する事例が確認できた。ロール間の違いはより明確であり、PCR-DGGEは生菌数にはない有用な情報を提供しうると考えられた。
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