2006 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥加熱を利用した糖リン酸化によるホエータンパク質の高機能化・多機能化
Project/Area Number |
17580238
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70034460)
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Keywords | ホエータンパク質 / β-ラクトグロブリン / リン酸化 / 乾燥加熱 / 熱安定性 / 機能特性 / マルトペンタオース / メイラード反応 |
Research Abstract |
チーズの生産量は年々増加し、その副産物であるホエーの有効利用は重要な課題になっている。ホエーからホエータンパク質分離物(WPI)が製造され、食品加工素材として利用されているが、ホエーの更なる利用のため、ホエータンパク質の高付加価値化が望まれている。本研究は、メイラード反応を利用してWPIにマルトペンタオース(MP)を結合させた後、リン酸塩存在下での乾燥加熱によりリン酸化することにより、WPIの高機能化・多機能化を目指したものである。前年度において、メイラード反応を利用して、WPIにMP結合させると、その機能特性が著しく向上することを明らかにした。本年度は、WPIの主要成分であるβ-ラクトグロブリン(β-Lg)を糖リン酸化して、その構造変化と機能特性の変化を調べた。β-Lgとマルトペンタオース(MP)を重量比1:0.3、pH8.0で溶解し凍結乾燥後、50℃、相対湿度65%で3日間加熱してMP-β-Lgを調製した。これをピロリン酸緩衝液(pH4.0)に溶解し凍結乾燥後、85℃で1、3日間乾燥加熱してリン酸化し、PP-MP-β-Lgを調製したところ、β-Lgの有機リン(PO)含量は乾燥加熱の日数に依存して増加し、3日間乾燥加熱したもののPo含量は0.87%であった。β-Lgの2次構造の変化をCDスペクトルで調べたところ、糖リン酸化による2次構造の変化は小さいことが示唆された。また、示唆走査熱分析の結果、糖リン酸化による変性温度の変化は小さいことが分かった。糖リン酸化によって、β-Lgのレチノール能の低下が認められた。β-Lg溶液は90℃、10分間の加熱でほぼ不溶化したが、糖リン酸化β-Lgでは79%が可溶性で、糖リン酸化により著しい熱安定性の向上が見られた。β-Lgの免疫原性は糖化によって有意に減少したが、リン酸化による影響は認められなかった。また、リン酸化によりβ-Lgにリン酸カルシウム可溶化能が付与された。
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Research Products
(1 results)