2007 Fiscal Year Annual Research Report
自給飼料主体で生産した乳・肉の共役リノール酸など機能性成分の評価と利用技術の開発
Project/Area Number |
17580239
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
萬田 富治 Kitasato University, 獣医学部, 教授 (20348593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有原 圭三 北里大学, 獣医学部, 教授 (00175994)
畔柳 正 北里大学, 獣医学部, 講師 (50205259)
板橋 久雄 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 客員教授 (00280991)
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Keywords | 畜産物利用 / 食品機能学 / 食品化学 / 草地利用 / 生物活性物質 / 飼料 / 飼養 / 資源循環システム |
Research Abstract |
放牧や自給飼料多給等、自然循環機能を発揮した畜産システムで生産された乳・肉に含まれる共役リノール酸(CLA)、ビタミン類の含量を増強するため、放牧乳牛および放牧肉牛の機能性成分の動態を明らかにし、牛ルーメン内CLA含量に及ぼす粗飼料多給および牛ルーメン内CLA含量に及ぼすルーメンプロトゾアの影響について試験を実施した。結果の概要は以下のとおりである。 1.青森県および岩手県の酪農家の調査では放牧により牛乳中のCLAおよびビタミンA含量が高くなることが示された。 2.北海道八雲町の酪農家の調査では放牧によりCLA含量は高まったが、牛乳中のビタミンAおよびE含量は、測定値にばらつきが見られ、放牧飼養により含量が増加する傾向は認められなかった。 3.放牧および貯蔵自給飼料で肥育された牛肉のCLA含量は濃厚飼料主体の慣行肥育の牛肉よりも多かったが、ビタミンEおよび遊離グルタミン酸の含量には、明確な差は認められなかった。 4.泌乳牛へのビール粕の給与により牛乳中の脂肪酸組成ではC18:0およびC18:1の割合が有意に高く、また、CLAの割合も高まった。 5.泌乳牛への稲ホールクロップサイレージの給与はルーメン発酵や血液性状に影響を与えたが、牛乳中のCLA含量には影響が認められなかった。 6.ルーメン内CLA生成に及ぼすプロトゾアの影響について、プロトゾア存在牛と不在牛を用いて検討した。フロトゾアは細菌に比べ、バクセン酸VA)は40%多く、c9,t11-CLAは61%多かった。プロトゾア存在牛のルーメン細菌は不在牛のそれに比べ、VAを65%多く、CLAを22%多く含んでいた。また、ルーメン液の脂肪酸組成では、プロトゾア存在牛は不在牛に比べVAを151%多く含み、CLAを119%多く含んでいた。以上より、プロトゾアはルーメン内のVAとCLAの生成に大きく係わっていることが明らかにされた。
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