2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着性乳酸菌の腸上皮細胞における抗ウイルス物質の発現誘導機構の解明
Project/Area Number |
17580240
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
向井 孝夫 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (20229917)
|
Keywords | 乳酸菌 / ウイルス / 抗ウイルス物質 |
Research Abstract |
ヒトや動物における下痢症起因ウイルスに対する経口的に感染し、衛生対策を施す以外、確実な予防手段がないのが現状である。申請者はこれまで、細胞接着性を示すある種の乳酸菌株が消化管感染症起因細菌の細胞への感染を阻止することを示してきた。一方、乳酸菌株と下痢ウイルスを共培養することによってウイルスの増殖が抑制されることも示唆してきた。そこで本研究では細胞接着性乳酸菌の抗ウイルス活性の検討および抗ウイルススペクトラム(どのようなウイルスに効果を示すか)の検討を行うこととした。 前年度、指標ウイルスとしてコロナおよびウシ粘膜病下痢ウイルス(BVDV)を用い、乳酸菌の抗ウイルス活性を調べたところ、プラークアッセイ法によって、ウイルス増殖阻害効果を示す乳酸菌株が存在することを示唆してきた。メカニズムに関しては腸上皮から誘導される成分あるいは菌体から分泌される成分の寄与、菌体にウイルスが吸着されること、のいずれかに起因していることが示唆された。しかし、データにばらつきが見られたこと、簡便性の問題からプラーク法以外のアッセイによる抗ウイルス評価法が望まれた。そこで、本年度ではまず、安価で簡便なMTT法による細胞障害性を評価することで抗ウイルス活性を評価できるか否かを検討した。その結果、理由は不明であるが、コロナウイルスに対する抗ウイルス活性は定量性の点で評価できなかったが、BVDVに対しては定量的に評価できることが判明した。次いで、乳酸菌株の抗BVDV活性を再評価したところ、乳酸球菌に属するある種の菌株(数株)が、用量依存的に抗BVDV活性を示すことが明らかとなった。また、乳酸菌培地そのものが抗BVDV活性を示すことが明らかになったため、この要因を除く方法で検討した結果、菌体成分にも抗BVDV成分が存在することが明らかとなった。
|